一般事業会社の財務担当者や証券化ビジネスに関わっているアレンジャーやアセットマネージャーなど、実務家向けに書かれた、Q&A方式の「証券化スキーム」に関する様々な論点を整理した本があります。
本日紹介するのは、東京SPCマネジメント(株)社長の野坂照光さんと、みずほ証券(株)部長の藤瀬裕司さんによる編著となる、こちらの書籍です。
野坂照光・藤瀬裕司『Q&A 証券化SPV-会計・税務の課題と実務処理』(清文社)
この本は、2008年のリーマンショックの元凶と言われる、ファンドによる投資の拡大や、証券化の問題点に焦点を当て、その仕組みやスキームの類型、実務上の使われ方などを論じた書です。
本書は以下の9部構成から成っています。
1.証券化の基礎知識
2.証券化スキームの類型
3.一般社団法人
4.SPCと信託の今日的オフバランス・連結問題
5.匿名組合
6.証券化出口戦略としての適格合併
7.信託をSPVとして用いた場合の法人課税信託
8.消費税の還付に係る合理的按分基準
9.18号監査
本書は、証券化の本質である「オフバランス」や、「倒産隔離」、「信託での活用」、「連結問題」など、実務家にとって、つねに変化を繰り返している複雑な論点について、原理原則から応用問題までを論じた便利な書です。
一般に、金融や財務における実務から離れた方にとっては、おそらく全く意味が分からない本だと思いますが、現代のグローバルな市場動向の影響からは、いかなる業種の事業であっても逃れることはできません。
そういう意味で、現在、世界では何が問題となり、どういう方向へ世の中の流れが向かっているのかを把握する意味で、本書の要点だけでも掴んでおくといいでしょう。
本書の中でもとくに注目すべきなのは、証券化の問題点である一般社団法人、SPCと信託のオフバランスと連結、匿名組合、証券が出口戦略としての適格合併などです。
また、専門用語の米国における定義や、注目すべき用語などについては、「一口メモ」として解説されており、参考になります。
また、本書には様々な類型の「証券化スキーム」の実例が、スキーム図を用いて具体的に紹介されていますが、諸般の事情で、実際には活用されているが本書では採り上げていないスキームが多数ある、ということです。
税制改正やマーケット動向による、証券化スキームの変化や流行は変化のスピードも速く、実務の解説書としては限界があるためです。
但し、証券化に関する基本的な考え方や意義については不変の原理もあり、本書はその面では大いに参考になります。
あなたも本書を読んで、証券化SPVに関する理論や実践について、具体的に学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を