書評ブログ

『資本主義の宿命 経済学は格差とどう向き合ってきたか』

「本書が取り上げる貧困、格差、大金持ちにまつわる問題はいわば資本主義の宿命と言える。資本主義が拡大すればするほど、貧困は深刻な問題であり続け、富裕層はますます豊かになっていき、格差は拡大していく。」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、1943年兵庫県生まれ、小樽商科大学、大阪大学大学院を経て、ジョンズ・ホプキンス大学院博士課程修了(Ph.D.)の後、京都大学教授、同志社大学教授、京都女子大学客員教授を歴任して、現在は京都大学名誉教授橘木俊詔さんが書いた、こちらの書籍です。

 

橘木俊詔『資本主義の宿命 経済学は格差とどう向き合ってきたか』(講談社現代新書)

 

この本は、格差、富、貧困という資本主義の宿命を直視し、アダム・スミス、マルクス、ケインズからピケティまで経済学者たちがどのようにこの問題と向かい合ってきたかを参考にしながら、いかに資本主義の欠点を少なくし、多くの人びとが納得できる社会を作っていくかを問いかけている書です。

 

 

本書は以下の8部構成から成っています。

 

1.格差の現実

2.資本主義社会へ

3.資本主義の矛盾に向き合う経済学

4.福祉国家と格差社会

 

5.ピケティの登場

6.ピケティ以降の格差論

7.経済成長か、公平性か

8.日本は格差を是正できるのか

 

この本の冒頭で著者は、「貧困、格差、大金持ちを題材にして、読者が経済の問題に関心を寄せて、どういう社会・経済が望ましいかを考えてみる機会を本書が与えることができれば、望外の喜びである。」と述べています。

 

 

本書の前半では、「格差の現実および「資本主義社会へ」について以下のポイントを説明しています。

 

◆ 先進国の中でも所得格差の大きい日本

◆ 相対的貧困率が高い貧困大国の日本

◆ 単身世帯の資産ゼロは34.5%

◆ 若者と高齢者に貧困率が高い

 

 

この本の中盤では、「資本主義の矛盾に向き合う経済学」「福祉国家と格差社会」「ピケティの登場」および「ピケティ以降の格差論」について解説しています。主なポイントは次の通りです。

 

◆ 新古典派経済学、マルクス経済学、ケインズ経済学

◆ 福祉国家の萌芽は、ドイツ・ビスマルクの「三部作」

◆ イギリスの「ゆりかごから墓場まで」

◆ 北欧型の「高福祉・高負担」国家

◆ アメリカの小さな政府と福祉資本主義

 

◆ ピケティの『21世紀の資本』が証明した格差拡大の方程式

◆ 政治が経済に与える影響を解いた『資本とイデオロギー』

◆ 世界不平等研究所の分析

◆ 日本の超富裕層(金融資産5億円以上)は9万世帯

 

 

本書の後半では、「経済成長か、公平性かおよび「日本は格差を是正できるのか」ついて説明しています。主なポイントは以下の通り。

 

◆ 格差社会のデメリット:➀貧困者の数が多い、②超富裕層の高額消費が資源の枯渇に、③犯罪率が高い、④教育費の支出格差が子どもの格差に、⑤社会の分断

◆「トリクルダウン理論」は実際の経済では成立しない

◆ 成功しなかった中国の「先富論」

◆ 日本は福祉国家になれる

 

この本の締めくくりとして著者は、「北欧諸国は福祉国家ながら経済は強いし、国民の幸福度も高い。」と述べています。

 

あなたも本書を読んで、第一人者が明かす「貧困大国・日本への処方箋」を学び、書本主義に宿命に向き合っていきませんか。

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3408日目】