「国民が知らない税金の真実がある」と述べて、「じつは、税金は『グレーゾーン』だらけ」、「節税の本質はコミュニケーションである」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、1976年生まれ、東北大学大学院修了、政策研究大学院大学修了、キャリア官僚として文部科学省に入省し、大規模な法改正を担当、退職後は民間勤務を経て、国家公務員として国税局に再就職、国税調査官として税務調査を担当し、様々な脱税手法、脱税心理、欲に溺れた人間模様を目の当たりにしてた経験をもとに、2016年に国税局を退職して独立、現在はYouTubeチャンネル「元・国税調査官【税金坊】」を開設し、中小企業経営者や個人事業主向けに税とお金についての情報発信やコンサル手キングをしている根本和彦さんが書いた、こちらの書籍です。
根本和彦『「節税」の超・裏ワザ 元国税調査官が捨て身の覚悟で教える 』(SB新書)
この本は、納税者が普段からコミュニケーション力を磨き、なるべく税務調査に入られないように、もし入られたとしても的確な対応ができるように、元税務署員が、税務署の思考パターンを紹介しつつ、世間に知られていない節税法について解説している書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.税務調査は「グレーゾーン」が9割
2.最強の節税術は、税務署員を「知る」ことから始まる
3.EーTax 、電子帳簿、持続化給付金ー、「新設制度」のグレーゾーンはどこか?
4.「経費」が落とせるかどうかは「この準備」で決まる
5.「経費」のストーリーはこうつくれ!
6.「副業」で余計な税金を払わないようにするノウハウ
7.税金は激変の時代に突入する
この本の冒頭で著者は、「税務調査」の実態について紹介しています。税務調査では、シロかクロかはっきりしないグレーゾーンがほとんどで、「追求する」か「見逃す」かは税務署員次第だ、と著者は言います。
したがって、税務署員の「弱み」を把握し、税務署員のホンネはどこにあるのかを見極めることで、合法的な節税ができるのです。
つまり、税務調査とは「税務署員とのコミュニケーションの場」ということです。
本書の前半では、「最強の節税法は税務署員を知ることから始まる」および「新設制度のグレーゾーンはどこか」について、以下のポイントを解説しています。
◆ 税務調査官の弱点は「1つの税務調査に時間をかけたくない」
◆ 調査官は「ウソ」と「脅し」を駆使して交渉してくる
◆ 調査官は、出世のために「重加算税」がほしい
◆ 税務調査先を選ぶチェックポイントは、売上増加、経費増加、脱税手助け業者との取引
◆ どのレベルの調査官が来るかで天と地の差がある
◆ 持続化給付金受給歴は税務調査に影響しない
◆ コロナ禍でも売上げを伸ばしたところが狙われる
◆ マイナンバーがなくても銀行口座はすべて把握されている
◆ EーTax は必ず利用せよ
◆ 税務調査にもAIが導入される
この本の中盤では、「経費が落とせるかどうかの準備」および「経費のストーリーの作り方」について説明しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 節税の目的を明確に
◆ 経費の多くはグレーだと思え
◆ 経費はストーリーが大事
◆ 個人事業主の経費は法人より落としにくい
◆ 領収書の整理は不要、保存されていればいい
◆ 自宅兼仕事場の経費割合も相場感が大事
◆ 30万円未満なら一括で経費に
◆ 消耗品を活用する
◆ 飲食代、旅行を出張にするストーリーをつくる
◆ 非常勤役員を活用する
本書の後半では、「副業で余計な税金を払わないようにするノウハウ」および「税務は激変の時代に突入する」ことについて考察しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 暗号資産は税務署に狙われている
◆ 赤字副業で所得税還付には注意
◆ 暗号資産の黒字は他の所得の赤字と相殺できる
◆ 転売、せどりも税務署には筒抜け
◆ 副業を成功させる近道は、①人の役に立つ、②人にかかわる、③人に何かを伝える
◆ 経費バランスは自社の過去の申告との比較が大事
◆ クラウド会計の普及で一人申告が可能に
◆ 節税だけでなく社会保険料の削減も重要
◆ 役員報酬による所得税、法人税、社会保険料のバランスで考える
◆ 個人事業主もマイクロ法人を使えば保険料を大幅に削減できる
この本の締めくくりとして著者の根本和彦さんは、「節税とは、経営者が自ら主体的に、他者や社会へのお金の還元の仕方を選択するために行うものである」と、節税の目的を説明しています。
あなたも本書を読んで、国税側と私たち納税者の間にある「情報格差」を認識し、「税金を取りすぎる役所」へ対抗できる「節税」の超・裏ワザを学び、実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2625日目】