書評ブログ

『ここまで変わる! 家の買い方 街の選び方』

「コロナ禍がきっかけとなり、人々の仕事や住まいに対する考え方は劇的に変化した。日本社会は今、変わりつつある。」と述べて、不動産業界に長く身を置く立場から、今後の「家の買い方と街の選び方」を解説している本があります。

 

 

本日紹介するのは、東京大学経済学部卒、ボストンコンサルティンググループなどを経て三井不動産に勤務、J-REAT(不動産投資信託)執行役員運用会社代表取締役を経て独立、現在はオラガ総研株式会社代表取締役として、ホテルなどの不動産プロデュース業を展開している牧野知弘さんが書いた、こちらの新刊書籍です。

 

 

牧野知弘『ここまで変わる! 家の買い方 街の選び方』(祥伝社新書)

 

 

この本は、これからの日本社会の中で確実に変わっていく人々の働き方の変化、そして働き方の変化に伴って、家や街に対する考え方がどう変わっていくかを見通している書です。

 

 

本書は以下の8部構成から成っています。

 

1.はじめにー変化し始めた人々の働き方、住まい方

2.コロナ禍は、家のあり方をどう変えたのか

3.時代とともに変容してきた「家選び」の基準

4.令和時代の新・マンションの買い方、選び方

 

5.令和時代の新・戸建ての買い方、選び方

6.これからの世の中で家は資産となるか

7.住む場所にこだわる~おすすめの街選び

8.おわりにー未来の住まい方

 

 

この本の冒頭で著者は、「不動産こそは人々の生活を支える重要なインフラだ」と述べ、「その人々の思考が変わる、価値観が変わる、今はどうやら重大な歴史の転換点にきている」と指摘しています。

 

 

つまり、「働く」を含めた生活環境が変わるということは、人々の生活の基盤である家や街に対する価値観が変わることになるのです。

 

 

本書の前半では、「コロナ禍は、家のあり方をどう変えたのか」および「時代とともに変容してき『家選び』の基準」について、以下のポイントを説明しています。

 

◆ ワーカーは「時間」「仕事」「場所」の3つの自由を得た

◆ コロナ後はコロナ前には戻らない

◆ 在宅勤務が、家を見直すきっかけ

◆ タワマンは、Wifi 利用、生活利便性で意外な盲点あり

◆ 家で働くには、「集中できる空間」が必要

 

◆ 1945年の終戦後、25年単位で大きく変わる日本社会と「家選び」の基準

◆ 1970年以降、家はローンで買うが常識に

◆ 1995年を境に変わる「家選び」、年収ダウンとマンション資産形成の都市伝説化

◆ 承継できない親の家とあなたの家、不動産は「負動産」に

◆ これから起こる首都圏大量相続

 

 

以上の考察の中で、特に興味深く感じたのは、戦後25年(四半世紀)ごとに日本社会が大きく変化し、家や街に対する価値観が次のように大きく変容してきたという分析です。

 

1.1945~1970年: 戦後復興期(製造業による高度経済成長、工場の近くに居住)

2.1971~1995年: 日本の黄金期(三大都市圏への人口移動、住宅ローンで家を購入)

3.1996~2020年: バブル経済崩壊と停滞期(東京一極集中と所得の停滞)

4.2021~2045年: コロナ禍以降の新しい働き方(首都圏大量相続と家余り)

 

 

この本の中盤では、「令和時代の新・マンションの買い方、選び方」および「令和時代の新・戸建ての買い方、選び方」について解説しています。主なポイントは以下の通り。

 

◆ 新築にこだわることは時代遅れ(中古マンションの方が成約数は多い)

◆ マンションで快適に暮らすなら都心賃貸

◆ タワマンは短期で売り抜けろ、マンションはエグジット戦略が大事

◆ マンションを買うなら、換金性重視

 

◆ 茨城、栃木、群馬、長野、山梨、静岡に家を持つことも

◆ 買ってはいけない「ニュータウン中古」

◆ 絶対にやめよう、二世帯住宅

◆ 狙い目は都心賃貸戸建て

 

 

本書の後半では、「これからの世の中で家は資産になるか」および「住む場所にこだわる~おすすめの街選び」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。

 

◆ 超長期の住宅ローン、夫婦ダブルローン、親子ローンを組んではいけない

◆ マンションは資産ではなく、必要に応じて住みこなす時代に

◆ 家に人生を売り渡す時代は過ぎている

◆ 賃貸戸建てに住みながら、退職後に家を買う選択も

◆ オンとオフをを明確に分けない「2拠点居住」

 

◆ 家を選ぶ前に「街を選ぶ」

◆ 人生のステージに応じて住む家を変える

◆ 首都圏郊外に住むなら、湘南エリア、鴨川、川越、所沢

 

◆ 田舎生活なら、横瀬町、水戸、軽井沢、大月、新潟、三島、静岡

◆ 東京郊外なら、立川、三鷹、調布

◆ 都心に住むなら、番町、麹町、文京区、中央区明石町

 

 

あなたもこの本を読んで、不動産から見えてくる「日本の近未来」を知り、これからの「家の買い方」、「街の選び方」を学んでみませんか。

 

 

ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。

 

 

では、今日もハッピーな1日を!【2624日目】