「新自由主義に代わる新たな世界観がこれから登場するとともに、再び勝者と敗者の入れ替え戦が始まるのです。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1993年に単身で渡米、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院修士、投資関連コンサルティング業務を営む米国のG7グループを経て、2007年にオブザーバトリー・グループを共同設立、ヘッジファンドを含むグローバルな機関投資家に対し、各国政府の経済政策分析に関するコンサルティングを提供する在ワシントン投資コンサルティング会社共同CEOの齋藤ジンさんが書いた、こちらの書籍です。
齋藤ジン『世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ』(文春新書)
この本は、カジノのオーナーであるアメリカが、「ここに座れば勝つ」というテーブルを日本のために用意していることを伝え、日本という国家と、日本人の皆さんがこのゲームチェンジに取り残されないように書かれた本です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.新自由主義とは何だったのか?
2.私はいかにして新自由主義の申し子になったのか
3.「失われた30年」の本質
4.中国は投資対象ではなくなった
5.強い日本の復活
6.新しい世界にどう備えるか
この本の冒頭で著者は、「いまこの瞬間、私たちの目に前で、次の30年を規定するであろう、新たなカジノのルールが書かれようとしています。」と述べています。
本書の前半では、「新自由主義とは何だったのか?」および「私はいかにして新自由主義の申し子になったのか」について以下のポイントを紹介しています。
◆ 新自由主義の3大要素:①小さな政府、②裁定者は市場、③個人の生き方に干渉しない
◆ 1930年代の大きな政府から1980年前後からサッチャー・レーガンの小さな政府へ
◆ 経済ファーストの3銃士:グリーンスパン、ルービン、サマーズ
◆ グレートモデレーションでIT革命、グローバリスト、デジタリストが誕生
◆「取り残された者」たちの逆襲で、分断から「大きな政府」への転換
◆ ヘッジファンド向けコンサルティング業界で日本の金融危機を最初に予想
◆ 政策・政治と金融をつなぐ架け橋という仕事
◆ ヘッジファンドのオーナーは「変な人」が多く、トランスジェンダーも受け容れ
◆ 2012年の「日銀改革と日本の転換点」レポートでソロス・ファンドを大儲けさせる
◆ 新自由主義の世界観が瓦解し、勝者と敗者が入れ替わる
この本の中盤では、「失われた30年の本質」および「中国は投資対象ではなくなった」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 1930年代と1980年代、アメリカの2度の統治観変更で脅威だった日本叩き
◆ 3度目のアメリカ統治観変更で脅威の中国叩きと戦略的な日本が浮上
◆ レイ・ダリオもブラックロックも2022年以降、中国悲観論へ方針転換
◆ ゴールポストを動かしていくアメリカの対中交渉(「狭い庭に高い壁」の庭を広げ壁を高くする)
◆「弱い中国」は、「台湾有事」の危険性も
本書の後半では、「強い日本の復活」および「新しい世界にどう備えるか」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 人口動態は、デフレ圧力にもインフレ圧力にもなり得る
◆ 日本企業のゾンビ社員消滅と人口減少で「ルイスの転換点」を超えて人手不足に(生産年齢人口の就業率70%から80%に向けて上昇)
◆「ルイスの転換点」:農村から都市部への労働供給で下がった賃金が労働不足で賃金上昇に急転換する時点
◆ 新自由主義の終焉と日本の復活、インフレと経済成長へ
◆ 半導体やアメリカIT企業の対日投資急増(グーグル、アマゾン、マイクロソフト、オラクル)
◆ 冷戦下でソビエト封じ込めのために日本の経済発展を助けて以来、アメリカが中国封じ込めのため日本を助ける時代に
◆ 日本の生産性の低さ(とくにサービス業)が「にびしろ」になる
◆ 失業問題を起こさずに労働調性ができる環境に
◆ アメリカはカジノのオーナーであり続け、日本は相対的勝者になる
◆ インドは中国の代替として「特別な地位」に
この本の締めくくりとして著者は、次の時代の日本について、「市場メカニズムは敵ではなく、味方になる」と述べています。
あなたも本書を読んで、世界秩序を変える根幹となるアメリカの統治観が大きく変化するタイミングにおいて、自分の人生の選択をしっかりと考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3669日目】