システム開発の現場でよく起こる、「理系脳」タイプのITエンジニアが「文系脳」タイプのクライアントを怒らせてしまうトラブルを回避する決定版の技術を教えてくれる本があります。
本日紹介したいのは、大手メーカー系システムインテグレーター、専門学校教師を経て、現在は新興コンサルタントファームに所属する櫻井俊輔さんが書いた、こちらの書籍です。
櫻井俊輔『「理系脳」のための「文系」を怒らせない技術』(秀和システム)
この本は、ITプロジェクトに携わっているITエンジニアが、お客様や上司とのやり取りの中で、次のような悩みを持っていることを解消するために書かれました。
◆ なぜ、奴らは同じことを何度も聞いてくるんだ!
◆ 誰にもジャマされず、スムーズに仕事を進めたい!
◆ ホントはこっちが「怒りたい」のに「怒れない」
著者の結論は、「怒らせない技術」で相手を封じ込めればいい、というものです。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.なぜ怒る?「文系脳」のあるあるシチュエーション
2.まずは、「文系脳」のメカニズムを解剖しよう
3.伝わらないから怒らせる
4.状況別、怒らせる理由と回避法
5.怒らせない技術はこうして磨け
6.「怒らせない技術」が人生の岐路になる
本書の冒頭で、お客様や上司、営業担当から怒られる日々を過ごしていた著者は、「私に光がさしたのが、<理系脳>と<文系脳>の違いに基づき攻略法を考える “ 怒らせない技術 ” でした。」と述べています。
つまり、<理系脳>であるあなたが、<文系脳>である相手のお客様、上司、営業などに寄り添ってみることが必要だ、ということです。
なぜなら、<理系脳>であるあなたの方が、スキル的に主導権を握っているからだ、と著者は言います。
本書によれば、「怒らせない技術」は、<理系脳>であるあなたが、<文系脳>である相手に振り回されることなく、より円滑にものごとを進めていくための最強テクニック、ということなのです。
本書の前半では、<理系脳>と<文系脳>の思考パターンの違いやコミュニケーションのクセなどが対比して紹介されています。
まず、理系の「対人能力」の特徴は以下の通りです。
◆ 内向的
◆ 空気を読まない
◆ コミュニケーションが苦手
それに対して、文系の「対人能力」の特徴は次の通り、理系とは対照的です。
◆ 外交的
◆ 空気を気にする
◆ コミュニケーションが得意
また、理系の「対課題能力」の特徴は以下の通りです。
◆ 論理的
◆ 細かい
◆ 数字に強い
それに対して、文系の「対課題能力」の特徴は次の通り、理系とは対照的です。
◆ 情緒的
◆ アバウト
◆ 数字を避ける
例えば、<理系脳>には、すべての情報を知りたいし、すべての情報を教えてあげたいという特徴があります。
それに対して<文系脳>は、自分に必要な情報だけ知りたいと思っています。そのため「そんな細かいことまで教えてくれなくてもいいのに・・・」という不満が残ることになるのです。
また、「知・情・意」という3つの心の働きがバランスを保っている状態が理想なのですが、<理系脳>のITエンジニアは、「知」の部分を重視します。
それに対して、<文系脳>の営業マンなどは、「情」の部分の比重が大きい、と言えるでしょう。
以上のような、<理系脳>と<文系脳>の違いを踏まえて、本書の中盤以降では、「怒らせない技術」として、以下の6つの手順を提唱しています。
1.自分を知る
2.相手を知る
3.自分と相手との間にあるギャップを明確にする
4.伝える内容を洗い出し、整理する
5.必要に応じて、相手に寄り添う例え話を考える
6.相手にスッと入る話の流れを考える
さらにこの本では、「状況別、怒らせる理由と回避法」が、具体的な会話事例を交えて紹介されていて参考になります。
本書の後半では、「相手との共感ポイントを見つけ出す方法」として、以下の「3つの質問テクニック」が説明されていて、これは実践的で有益です。
◆ 相手の人となりを紐解くクエスチョン
◆ 相手に影響を与えているものに迫るクエスチョン
◆ 相手の攻め口を探すクエスチョン
それぞれ具体的に、どんな言葉で質問を投げかけるかが紹介されていますので、興味ある方はぜひ、本書をお読みください。
また、著者の櫻井俊輔さんは、次にようなKindle電子書籍も書いているので、ぜひ併せて読まれることをお薦めします。
システム開発の現場では、能力の高いITエンジニアと、優秀なお客様や営業マンの間で、なぜか話がうまく伝わらずに、誰かが怒りだしてしまう、という場面がよく見られます。
私自身も新規のシステム構築の際に、長期間のプロジェクトで多くのITエンジニアとのコミュニケーションが上手く行かず、苦労した経験がありますので、本書の価値がよく分かります。
システム開発に携わり、何らかのコミュニケーション上の悩みを持っている方には必読の書として、強くお薦めしたい本です。
あなたも本書を読んで、<理系脳>と<文系脳>の違いを、きちんと理解して、「怒らせない技術」を身につけ、スムーズなコミュニケーションを実現しませんか。
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では、今日もハッピーな1日を