「本当に自分がしたいことか、本当に自分が欲しいものか、ということをじっくりと考えれば、多くの無駄使いが自然になくなると思われる。その点について、いろいろな方面から考察していきたい。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1957年愛知県生まれ、国立大学の工学部助教授(現在の准教授)の傍ら、小説を書いて、1996年『すべてがFになる』(講談社文庫)で第1回メフィスト賞を受賞、以後多くの小説のほかエッセイなど多くの著作がある小説家、工学博士の森博嗣さんが書いた、こちらの書籍です。
森博嗣『お金の減らし方』(SB新書)
この本は、「お金は自分の欲しいものに使う。必要なものよりも、欲しいものを優先しなさい」、すなわち「自分にとって価値あるものを得るために使う」ことを提唱するために書かれた書です。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.まえがき
2.お金とは何か?
3.お金を何に使うのか?
4.お金を増やす方法
5.お金がないからできない?
6.欲しいものを買うために
7.欲しいものを知るために
8.あとがき
この本の冒頭で著者は、「夫婦で収入の1割ずつを自分の趣味のために使い、残りの8割で生活を維持していこう」というルールを決めて結婚以来37年間、今も続けていることを紹介しています。
本書の前半では、「お金とは何か?」および「お金を何に使うのか?」について、著者の考え方を説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ お金は価値を交換するためにある
◆「価値をどう見極めるのか」がお金を使うキーポイント
◆ 自分の好きなことがやりたいからお金を減らす
◆ 仕事は自分のエネルギィと時間を提供してお金を得る交換
◆ 損をさき、得をあとにする鉄則
◆ 自分が買ったものは自分で消費する
◆ お金に困る原因は10年前にある
◆ 必要だからしかたがない、という罠
◆ どれくらい欲しいか、が基本
◆ 必要性より、欲しいから買う
この本の中盤では、「お金を何に使うのか?」および「お金を増やす方法」について、次のポイントを解説しています。
◆ お金を増やす第1の方法は、自分の時間とエネルギィを差し出して対価をもらう
◆ お金を増やす第2の方法は、自分の持ちものを売る
◆ お金を増やす第3の方法は、投資
◆ お金を増やす第4の方法は、ギャンブル
◆ 手に職をつけるとは、自分の価値を高めること
◆ 仕事量と賃金は比例していない
◆ 仕事は例外なく社会に貢献している、自分で自分を褒めればよい
◆ 自分自身の価値を上げることに時間を使うこと
本書の後半では、「お金がないからできない?」、「欲しいものを買うために」および「欲しいものを知るために」をテーマとして考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 人は常に欲求を満たす道を選択する
◆ 否定されても諦めずに何度も説明して熱意と誠実さを伝える
◆「お金がない」は言い訳、それほど欲しくないということ
◆ 自分が欲しいものを知っていることの強み
◆ 好きなものに敏感だと、お金持ちになる
◆ 手に入れた後に価値が増すものを
◆ 自分が好きなものは、いずれ活かされる
◆ 誰でも、好きなものは博学である
◆ 価値は、自分自身の中で育つ
◆ ものを買うことが自分への投資になる
◆ 個人の手仕事が価値を持つような時代
◆ 価値がわかる人のところへ価値は届く
◆ 子供のように素直に憧れる気持ちを
◆ ぴんと来るものを見逃さないこと
◆ 好奇心を抱くことが人間の特長
◆ 目を輝かせた時間を思い出そう
この本の締めくくりとして著者は、「ネット社会となった現代の大勢の人たちは『自分』というものを見失っている」と述べています。
したがって、自分で評価する「自分」を取り戻そう、人生の目標は「自己満足」である、と提唱しています。
本書の結論は、「お金は『欲しい気持ち』を測る物差し」であり、「自分のお金を出す気で考えれば価値がわかる」ということです。
最後のメッセージとして著者は、以下のメッセージを記しています。
「人は自分が望んだとおりの者になる」
「欲しいものと必要なものの整理をしよう」
あなたも本書を読んで、「お金のモノサシから自由になるヒント」をつかみ、シンプルな生き方を目指してみませんか。
では、今日もハッピーな1日を!【2682日目】