「正しい方向から眺めると、数学と料理は驚くほど似通っている。」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、数学も料理も愛し、新しい数学パズルの考案やオリジナル料理でのもてなしに情熱を燃やす数学者で、数理論理学を専門とするスミス・カレッジ教授のジム・ヘンリーさんが書いた、こちらの書籍です。
ジム・ヘンリー『おいしい数学ー証明の味はパイの味』(岩波書店)
この本は、数学と料理について調べ、その本質的な類似性を明らかにすることを目標にした書です。
本書は以下の25テーマによる構成から成っています。
1.きまぐれな数学者
2.傲慢なシェフ
3.シンプルな味
4.複雑な風味
5.味の違いがわかる人
6.粘り強い料理人
7.旺盛な食欲
8.虚栄、怠惰、吝嗇、そして欲望
9.限界に達し、限界を越える
10.グローバルに考える
11.ローカルに食べる
12.謙虚な料理人
13.途方に暮れたギーク
14.エレガントな料理
15.みんなのための料理
16.みんなのために役立つ食事
17.ただ楽しにのためだけに
18.ただ奇をてらうためだけに
19.有名人シェフ
20.節約
21.倫理
22.融合
23.すべてが一体になる
24.すべてがバラバラになる
25.証明とプディング
この本の冒頭で著者は、読者に以下のことを納得してもらいたい、と述べています。
◆ 我々が数学をする理由と料理をする理由は、だいたい同じだ
◆ 我々は、キッチンの問題を解決するのと同じ心構えとツールを使って、数学の問題を解く
◆ 我々は、食べ物の問題を判断するのと同じ基準を数多く使って、数学を判断する
◆ 数学者としての生活と料理人としての生活は不思議なほどよく似ている
◆ 数学者も料理人も同じような夢を持ち、同じようなおそれを抱き、同じような罪深い秘密を持っている
本書の翻訳者の水原文さんによれば、ある時は失敗を恐れず大胆に自由な発想で、またある時は緻密に慎重な手順を踏んで行う必要があるという点で、料理と数学はよく似ている、ということです。
例えば、「私は、パンが焼けないんです。」という人と、「私は数学ができないんです。」という人は、どちらの告白も似ていて、どちらも悲しい、と著者は言います。
つまり、自分の欠点ではなく、不安を口にしているのです。
また、料理には実用的な面があるのと同じように、数学にも実用的な面がある、とこの本では述べています。
料理の本来の目的は、生命を維持することであり、健康的で生命の維持に役立つ食事を提供することです。
一方、数学(算術と幾何)の本来の目的は、社会や農業や宗教の重要な問題を解決することでした。
さらに、数学と料理には、節約、つまり最小の労力で物事をやり遂げることを評価するという共通点があります。
この本の最後には、証明とプディングの共通点が紹介されています。どちらも簡単で、驚くほど少ない材料しか使っていません。
つまり、それぞれ違った意味で楽しく、そしてちょっとミステリアスだ、と著者は解説しています。
この本は、ビジネス数学の専門家で多くの「数学」を分かりやすく説明した著書のある深沢真太郎さんのブログ記事で紹介されていたので、読んでみたものです。
深沢真太郎さんの新刊著書はこちらです。
料理や数学の奥深さと、驚くほど似ている共通点を知ることが出来て、興味深い一冊です。
あなたも本書を読んで、数学や料理の共通点と楽しさについて学んでみませんか。
速読法・多読法が身につくレポート 『年間300冊読むビジネス力アップ読書法「17の秘訣」』 を無料で差し上げます。ご請求はこちらをクリックしてください!