「老いを考える上で65歳が重要なターニングポイントとなるのは間違いありません。それは『リタイア』という一番気をつけるべき変化がこのタイミングでやってくるからです。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、昨日に続き、1960年大阪府生まれ、東京大学医学部卒、東京大学医学部付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在は精神科医、国際医療福祉大学大学院教授、川崎幸病院精神科顧問、和田秀樹こころと体のクリニック院長で、30年以上にわたり、高齢者医療の現場に携わっている和田秀樹さんが書いた、こちらの書籍です。
和田秀樹『老いが怖くなくなる本』(小学館新書)
この本は、「老いと闘いつつも、老いを受け入れていくためのヒント」を、著者自身の専門である医学の知識と、長く老年精神医療に携わってきた心の臨床の経験に基づいて伝えてくれる書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.認知症に脅える必要はない
2.「老人性うつ秒」だけには気をつけろ
3.命短し恋せよシニア
4.前頭葉を刺激する頭を使い続けるヒント
5.高齢期をよりよく生きるために
6.幸せな老いは必ず迎えられる
この本の冒頭で著者は、「年齢とともに、あれもできなくなった、これもできなくなった、と嘆きながら過ごすより、まだまだあれもできる、これもできる、と毎日を楽しみながら暮らしたほうが、人生は幸せに決まっています。」と述べています。
本書の前半では、「認知症に脅える必要はない」をテーマに、著者の見解を説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 長生きすれば認知症には誰でもなる(85歳以上の脳解剖で100%アルツハイマー)
◆ 長年培ってきた能力は認知症発症後も保たれる
◆ 長谷川和夫医師、漫画家・タレントの蛭子能収さんは認知症でも仕事を継続
◆ 認知症の主な症状は、①記憶障害、②見当識障害、③判断力障害
◆ 麻雀や楽器演奏は、新しく頭を使うので前頭葉を鍛えて認知症になりにくい
◆「頭と体を使い続ける」のは、認知症に限らずあらゆる老化に対抗する手段
◆ 人と会って話をする、コミュニケーションを取ることが前頭葉を刺激する
◆「できること」をやり続けること
この本の中盤では、「老人性うつ秒だけには気をつけろ」「命短し恋せよシニア」および「前頭葉を刺激する頭を使い続けるヒント」について、次のポイントを解説しています。
◆ うつ病患者の4割以上が60歳以上、推定150~160万人
◆ 精神的ストレスによるセロトニン現象がうつ病発症の最大要因
◆ 老人性うつ病では、頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気、腹痛、体のしびれなど身体的症状
◆ 急に現れたら老人性うつ病、長年かけて現れたら認知症
◆ 老人性うつ病予防は、①たんぱく質(肉類)摂取、②太陽の光を浴びる、③適度な運動
◆ 朝の日光浴は、睡眠の質を上げる(セロトニン分泌の15時間後にメラトニン分泌)
◆ 30分のウォーキングでセロトニン分泌を活性化でき、ロコモの予防も
◆ 歩くことで「骨の老化」スピードも抑えられる
◆ 人生100年時代は、「早死にするか、認知症になって長生きするか」
◆ 男性ホルモンは、①好奇心・意欲が旺盛になる、②社交性が高まる、③公共心や弱者への配慮が増す
◆「恋愛感情」や「おしゃれ」が体も脳も元気にさせる
◆ コレステロールはセロトニンを脳に運ぶ役割を果たす
◆ 偏食も粗食もシニア世代には自殺行為
◆ スクワットで男性ホルモンを増やす
◆「キング・オブ・筋トレ」と言われるスクワットがお勧め
◆ ホルモン補充療法もある
◆「1日1発見」を日課にする
◆ つねに学び続けること、「知識」よりも「経験」
◆ インプットよりアウトプット
◆ 人との会話は最高の「脳トレ」
◆ 年を取れば取るほど、「一流のもの」や「本物」に触れることが大切
本書の後半では、「高齢期をよりよく生きるために」および「幸せな老いは必ず迎えられる」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆「笑い」で脳も免疫力も元気をピーク
◆ 定期的に心臓ドックや脳ドックを
◆ 血圧も総コレステロールも高めの方が長生き
◆ 健康は自分の体に訊く
◆ 自分の幸せの尺度を信じる
◆ 老後は「我慢解禁」の時
◆ 車いす、杖、紙おむつ、補聴器など、何でも受け入れた方が楽
◆ 月5万円稼ぎ続ければ「老後2000万円問題」も解決、生涯現役を目指す
生涯現役で「月5万円稼ぎ続ける」という著者の推奨する生き方は、私が提唱する「定年ひとり起業」のコンセプトと同じで、心から共感します。
あなたも本書を読んで、老年専門精神科医が教える「老後をラクに楽しく生きるヒント」を学び、実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2791日目】