「まさに書くことが脳を活性化させる。毎月1000人の認知症患者さんと向き合っている私がたどり着いた結論。ノートを書くだけで脳がみるみる蘇る。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1966年生まれ、名古屋市立大学医学部卒業、医学博士で、日本老年病学会専門医、さらにファイナンシャルプランナー資格を持ち、病気だけでなく生活、家族も診るライフドクターとして、地方のクリニックでありながら、全国から月に1,000人以上の認知症患者が受診し、認知症治療とともにお金に関する今後の生活まで一括して相談を受けている長谷川嘉哉さんが書いた、こちらの書籍です。
長谷川嘉哉『ノートを書くだけで脳がみるみる蘇る』(宝島社)
この本は、手で文字を書くことが習慣化している人は高齢になっても脳の機能が維持されることを説明し、毎日の習慣として「書く」ことを取り入れた脳活ノート術を紹介している書です。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.手で文字を書くことがなぜ脳にいいのか?
2.脳活ノートを書く基本ルール
3.記憶力を活性化させる3つの脳活ノート術
4.「書く習慣」が脳を蘇らせる!
この本の冒頭で著者は、書く習慣があることで命を救われた父親のエピソードを紹介しています。父親は「日記を書く」習慣があったために、「字を書くこと」のみが障害される「純粋失書」に気が付き、早期治療で命を救われたそうです。
本書の前半では、「手で文字を書くことがなぜ脳にいいのか?」および「脳活ノートを書く基本ルール」について、以下のポイントを解説しています。
◆ 脳のパフォーマンスは何歳からでも向上可能
◆ 記憶は、①物事を覚える、②記憶を脳に保存する、③思い出す、の3工程
◆ 手で文字を書く利点は、①集中力が増す、②自分の思考を言語化して脳が働く、③記憶力の維持・定着に効果的
◆ エビングハウスの忘却曲線:20分後42%、1時間後56%、1日後74%、1週間後77%、1ヶ月後79%
◆ 生きるために「忘れる」のは宿命、いかに思い出すかが重要
◆ エピソード記憶は「思い出」で忘れにくく思い出せる(意味記憶は忘れる)
◆ ワーキングメモリが同時に処理できる情報は5~7つが限度
◆ メモを取る習慣のある人は、加齢変化をメモと行動力でカバーできる
◆ 文字を書くいうことは、頭の中を整理するということ
◆ 自分の脳を鍛えるために文字を書く
◆ 本を読んだ後に書くメモ:日時・場所・天気、タイトル・著者名・出版社名、仕事に役立つ情報、印象に残ったフレーズ、新鮮だと感じた表現、浮かんだ疑問
◆ 紙に書くと、読んだ内容を思い出すための記憶のフック作りになる
この本の中盤では、「記憶力を活性化させる3つの脳活ノート術」について説明しています。主なポイントは次の通り。
◆ 5年連用日記を書いてみる、認知症治療の「回想療法」と同じ効果がある
◆ 日記の効果は、①1日を振り返る、②アウトプットで記憶力を高める、③感情が刺激されて印象深く記憶される、④連用日記で自分の行動パターンを知る
◆ 日記の「核」を決めて毎日書くと、行動変化が起こる
◆「思い出せなかったノート」(コクヨの測量野帳)で記憶の弱点を補強
◆「どこでも持ち歩きノート」(ロディアのメモ帳No.11)で情報整理
◆ TO DO リスト、買い物メモ、TV・新聞・雑誌の記事、わからない単語、会話で気になったこと、お気に入りの店や場所、読書メモの一時預かり、ブログのネタやアイデア
◆ ノートで付箋を使いこなす
◆ ボイスレコーダーでアイデアが生まれる:①リラックスで潜在意識が顕在化、②視野を広げる、③脳の血流が増える
◆ 散歩中や運転中にアイデアをボイスレコーダーに吹き込む
本書の後半では、「書く習慣が脳を蘇らせる!」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 人生の困難は書くことで整理する(=ワーキングメモリの解放)
◆ 紙に書くステップは、①直面する問題を俯瞰、②対策を考える、③精神が安定する
◆ 書いた後の行動3ステップは、①すぐできることは行動、②任せられることは他の人に任せる、③肩の力を抜いて集中する
◆ 行動を4つに分ける:①やりたいこと、②やりたくないないこと、③やらねばならないこと、④やりたいけどできないこと
◆ 書く習慣を定着させるコツは、①自分を責めすぎず許す、②生活のルーティンを決める、③とりあえず日記帳を開く、④取材の気持ちで1日の中野スクープを狙う
◆ 新聞コラムの書き写し効果:①集中力がつく、②インプットとアウトプットのバランス、③ワーキングメモリを鍛える、④忘れていた漢字が書ける、⑤文章力がアップする、⑥情報が頭に定着する
◆「己書(おのれしょ)」で脳に心地よさのスパイラルを
◆「回想療法」を応用して、自分史ノートを作る
◆「未来日記」を書く(1年後、1ヶ月後、1週間後)
この本の締めくくりとして著者は、「書く」ために大切なことは、「書かなければならない」ではなく、「書きたい」というモチベーションに昇華させること、と述べています。
しして、「書く」習慣を続けるために、「心地よく書くこと」を意識して、文字を書く機会を増やしていきましょう、と続けています。
あなたも本書を読んで、脳活ノート術を学び、紙に書く習慣を実践することで、脳を活性化していきませんか。
2023年1月21日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第262回】ノートを書くだけで脳がみるみる蘇る、にて紹介しています。
ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。
では、今日もハッピーな1日を!【3005日目】