「新型コロナウィルスの感染症拡大で、日本経済が非常時モードに突入しているにに、政府も日銀も、財政・金融政策をすでに極限まで実行しているので、打つ手がないのです。」と指摘し、ハイパーインフレが起こると警鐘を鳴らしている本があります。
本日紹介するのは、1950年東京生まれ、一橋大学商学部を卒業、三井信託銀行に入行し、行費留学で米ノースウェスタン大学大学院でMBA取得、米モルガン銀行にて東京屈指のディーラーとして活躍、「伝説のディーラー」と呼ばれて、世界的投資家のジョージ・ソロスのアドバイザー、2013年から2019年まで参議院議員を務めた、株式会社フジマキ・ジャパン代表取締役の藤巻健史さんが書いた、こちらの書籍です。
藤巻健史『日本・破綻寸前-自分のお金はこうして守れ!』(幻冬舎)
この本は、ここまで借金が膨らんで尋常な増税手段では財政再建ができないとすれば、ハイパーインフレにならざるを得ないとして、自らの資産ポートフォリオを公開して、日本経済の危機を説明している書です。
本書は以下の18部構成から成っています。
1.私はこうして資産を運用している
2.財政再建にはハイパーインフレしかない
3.日銀は紙幣を刷ることで、財政破綻を回避している
4.日銀は財政赤字の尻ぬぐい機関になり下がった
5.異次元緩和の弊害は極めて大きい
6.警戒警報装置を除去したため、累積赤字が膨れ上がった
7.政治が借金を解決しなければ、市場が解決する
8.日銀は資産の再評価で債務超過に陥る
9.日銀は実現損の垂れ流しで、債務超過になることも
10.日銀が債務超過になったら、円は大暴落
11.何を契機にXデーは訪れるか
12.消費者物価指数2%がXデーの引き金を引く
13.何がきっかけで円安ドル高が起きるのか
14.日本の財政悪化くぉミスリードしたトンデモ理論
15.Xデーに備え、資産をどう守るか
16.ハイパーインフレを鎮める方法はあるのか
17.政府はXデー後に何をすべきか
18.おわりに~私のポートフォリオの復習
この本の冒頭で著者は、「財政再建にはハイパーインフレしかない」と断言しています。
したがって、著者自らの資産運用ポートフォリオは、銀行から円の固定金利で借金して、海外を含む不動産投資をし、金融資産はドルを中心とする外貨資産、ということです。
本書によれば、ここまで借金が膨らめば、円が暴落してハイパーインフレにならざるを得ない、ということです。
続いて、米国ではやったMMT理論(現代貨幣理論)というトンデモ理論を紹介しています。それは「自国通貨建てで借金している限り、インフレが加速しなければ、借金を増やしても大丈夫」という経済政策理論で、ステファニー・ケルトン教授が提唱し、バーニー・サンダース上院議員などが経済政策のバックボーンにしています。
MMT理論などブードゥー経済学(ブードゥー教の怪しげな儀式から来ている言葉)だと著者は批判していて、グリーンスパン元FRB議長やサマーズ元米財務長官など、多くの米国の識者がこぞって反対しているそうです。
ところが、日銀はこのMMT理論を実験している、と海外から言われているのです。
それは、黒田日銀総裁が勧めてきた「異次元金融緩和」のせいで、政府が赤字国債を増発し、そのほとんどを、民間銀行経由で日銀が買い上げているからです。
詳しい説明はぜひ、本書を手に取ってお読みください。日銀のバランスシートは、約20年で総資産が91兆円から570兆円に急拡大し、資産の大半、469兆円が長期国債となっているのです。
著者の藤巻さんは、参議院議員時代に、日銀の幹部に何度も質問をしたそうですが、日銀のバランスシートは健全で問題はない、との回答でした。著者は、極めてリスクが大きいと指摘しています。
この本は、伝説のディーラーが書いた、ハイパーインフレが不可避であるという日本経済を分析した書ですが、日本国は破綻しないものの、円預金だけを持っている日本国民は壊滅的な打撃を受けると警鐘を鳴らしています。
あなたも本書を読んで、破綻寸前という日本の現状を学び、自らの資産を防衛する方法を考えてみませんか。
2020年6月7日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第118回】伝説のディーラーが語る「日本・破綻寸前」にて紹介しています。
2020年4月15日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』、今日は【第65回】アドラーに学ぶ70歳からの「人生の流儀」にて紹介しています。
では、今日もハッピーな1日を!