「日本経済はバブル崩壊以降30年、ほとんど成長していません。」「低所得・低物価・低金利・低成長の4低は、もはや普通になりつつあります。」と述べて、日本病の解説をしている本があります。
本日紹介するのは、1971年群馬県生まれ、早稲田大学理工学部工業経営学科卒業、東京大学大学院経済学研究科修士課程修了、第一生命保険に入社、日本経済研究センターを経て、2016年より第一生命経済研究所主席エコノミストの永濱利廣さんが書いた、こちらの書籍です。
永濱利廣『日本病 なぜ給料と物価は安いままなのか』(講談社現代新書)
この本は、日本の絶望的に長期化した「4低」状況を「日本病」と名付け、海外との比較、そして日本独特の状況も検討しながら、この「病」をいろいろな角度から分析し、現状を招いた原因と、ここから脱却するための道筋を考察している書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.日本病ー低所得、低物価、低金利、低成長
2.「低所得」ニッポン
3.「低物価」ニッポン
4.「低金利」ニッポン
5.「低成長」ニッポン
6.スクリューフレーションの脅威ー1億総貧困化
7.下り坂ニッポンを上り坂に変えるには?
この本の冒頭で著者は、「日本病は不治の病ではありません。きちんと療養し、病み上がりの身体で筋トレを始めるようなことをしなければ、治る可能性はあります。」と述べています。
本書の前半では、「日本病ー低所得、低物価、低金利、低成長」という総論を説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ ビッグマック指数でも100均指数でも「安い日本」
◆ ジャパニフィケーション(日本化)は世界の恐怖に
◆ デフレスパイラルの脱却には、量的緩和と財政出動が必須
◆「今日より明日はよくなる」と信じられること
この本の中盤では、「低所得ニッポン」「低物価ニッポン」「低金利ニッポン」および「低成長ニッポン」について、それぞれ次のポイントを解説しています。
◆ 日本の賃金が上がらないのは、労働分配率が低いから
◆ 日本の賃金が上がらないのは、労働者の流動性が低いから
◆ 日本の賃金が上がらないのは、独特の雇用環境があるから(非正規雇用)
◆ 企業そのものの新陳代謝も悪い
◆ 安心して失敗できる「トランポリン型社会」を
◆ 適切なインフレ率2%に届かない日本
◆ 需要が供給を上回るのが良いインフレ、コストアップによる悪いインフレ
◆ バブル崩壊後、日本に良いインフレはない(GDPデフレーターが下がる)
◆ 良いデフレなどない
◆ 家計も企業も貯蓄過剰
◆ 家計も企業もお金を貯め込みすぎて低金利に
◆ 中立金利が低すぎて金融政策が効かない「流動性の罠」
◆ 日本の政府債務残高の伸びは低すぎる
◆ インフレ率2%を達成するまで景気が回復していない
◆ 日銀総裁交代の影響は?
◆ 日本の低金利が続くのは、量的緩和が遅すぎたため
◆ 経済政策の失敗が少子化を招いた
◆ 円安の影響は業種次第
◆ 日本にはびこるデフレマインド
◆ 現在は「日本病」から立ち直れるかの正念場
本書の後半では、「スクリューフレーションの脅威ー1億総貧困化」および「下り坂ニッポンを上り坂に変えるには?」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆「締め付け」と「物価上昇」を合わせたスクリューフレーションへ
◆ 生活必需本の物価上昇
◆ 日本における財政政策の重要性
◆ 政府債務残高と成長率は比例する
◆ 第一次産業に大きな可能性
この本の締めくくりとして著者は、「女性や元気な高齢者が働きやすい環境をより整備し、働き手を増やすことで、超高齢社会を十分乗り切れる余地はある。」と述べています。
あなたも本書を読んで、「低所得・低物価・低金利・低成長の4低」が続く「日本病」の本質を理解し、適切な方向を目指していきませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2775日目】