「日本人の賃金は、この20年以上にわたって、ほとんど上昇していない。これは先進国では例外的な現象だ。」「多くの国で賃金が上昇しているので、日本人は相対的に貧しくなっている。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1940年生まれ、東京大学工学部卒業、大蔵省入省、イェール大学ph.D.取得、一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任、現在は一橋大学名誉教授の野口悠紀雄さんが書いた、こちらの書籍です。
野口悠紀雄『どうすれば日本人の賃金は上がるのか』(日経プレミアシリーズ)
この本は、「日本の賃金が外国より低く、しかも停滞しているのが問題だ」とし、「この状況を何とか変えるべきだ」と主張している書です。
本書は以下の9部構成から成っています。
1.はじめに 毎日、勤勉に働いているのに賃金が上がらない
2.シリコンバレーの技術者は年収1億円
3.これでいいのか日本 今や韓国より低賃金
4.賃金を決めるのは、企業の「稼ぐ力」
5.あなたの給料は、日本人の平均より高いか?
6.賃金格差はなぜ生じるのか?
7.物価は上がるが賃金は上がらない
8.どうすれば日本人の賃金を上げられるか
9.あとがき 人の生くるは、パンのみによるにあらず
この本の冒頭で著者は、「日本人の賃金を引き上げることは、日本経済を再活性化することとほぼ同義であり、その実現には、日本社会を根底からオーバーホールすることが必要だ。」と述べています。
本書の前半では、「シリコンバレーの技術者は年収1億円」および「これでいいのか日本 今や韓国より低賃金」について、以下のポイントを説明しています。
◆ アメリカ先端IT企業のトップ技術者は年収1億円
◆ アメリカは「アマゾン効果」で賃金が上昇、情報処理産業はとくに高い
◆ 日本の賃金は韓国にも抜かれて停滞
◆ 日本は中国より「安い国」に
◆ 日本の統計はパートタイマー増加への対応ができていない
この本の中盤では、「賃金を決めるのは、企業の稼ぐ力」「あなたの給料は、日本人の平均より高いか?」および「賃金格差はなぜ生じるのか?」について考察しています。主なポイントは次の通り。
◆ 日本では50代で年収1000万円超えが「成功」の目安、同世代の1割
◆ 日本の大企業の平均年種は700万円程度
◆ 世帯年収が1000万円を超えるのは、全世帯の12%
◆ 所得格差をもたらす大きな要因は賃金格差
◆ 企業規模別の賃金格差は、従業員一人あたり付加価値の差(生産性の差)による
本書の後半では、「物価は上がるが賃金は上がらない」および「どうすれば日本人の賃金を上げられるか」について解説しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ アメリカでは賃金と物価が上昇、日本では物価は上昇するが賃金は上昇しない
◆ 日本は物価が高騰し、円安がさらに拍車をかける
◆「円安が国益」という誤った考えから脱却を
◆ 金融緩和政策から脱却し、円の価値を守ることが喫緊の課題
◆ 賃金を引き上げるのは、一人あたりの付加価値を増加させることが必要
◆ 日本の平均賃金は20年間低迷、パートタイマーが増えているため
◆「年功序列と終身雇用」という日本的経営から脱却を
◆ ファブレス製造業への転換やビッグデータの活用により新しい付加価値を生み出す産業構造に
あなたも本書を読んで、「日本の賃金が上がらない理由」を把握し、どうすれば停滞状況から脱却できるかを考え、実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2935日目】