「浮かぶ都市」の高卒者は、「沈む都市」の大卒者より給料が高い、と指摘している書があります。
本日紹介するのは、カリフォルニア大学バークレー校教授で経済学者のエンリコ・モレッティさんが書いた、こちらの書です。
エンリコ・モレッティ『年収は「住むところ」で決まる-雇用とイノベーションの都市経済学』(プレジデント社)
この本は、「いい仕事」はどこにあるのか?、あるいは、なぜ「いい仕事」は特定のエリアに集中するのか?、という疑問に答えています。
アメリカでは、シアトル、オースティンといった都市で労働人口増加、投資増加、雇用増加の好循環が生まれている一方、かつて製造業で隆盛を極めたデトロイトなどの 都市は過去20年以上にわたり人口流出、失業率の上昇に悩まされています。
こうした両者の格差は、そのまま平均賃金格差に反映されており、「沈む都市」周辺にいる限り、スキルアップの努力は大部分が無駄になる、と指摘しています。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.なぜ「ものづくり」だけでは駄目なのか
2.イノベーション産業の「乗数効果」
3.給料は学歴より住所で決まる
4.「引き寄せ」のパワー
5.移住と生活コスト
6.「貧困の罠」と地域再生の条件
7.新たなる「人的資本の世紀」
なぜ特定のエリアに雇用が集中して平均賃金が上がるのか。本書ではこれを「イノベーション産業の乗数効果」で説明しています。
つまり、イノベーション系の仕事1件に対し、地元のサービス業の雇用が5件増える、ということです。この「乗数効果」は製造業の2倍で、ゆえに「富める都市」はさらに富み、「沈める都市」はどんどん沈む、と著者は言います。
本書における議論は、あくまでアメリカにおける事例を考察したものですが、日本における都市政策、ものづくり重視の産業政策、雇用政策、あるいは日本人の働き方にも、大きな一石を投じるものだと思います。
あなたも本書を読んで、どの都市に住むか、どういう働き方をするのかなど、自らのライフスタイルを考えるきっかけにしてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を