書評ブログ

『長生き地獄 資産尽き、狂ったマネープランへの処方箋』

「充実した老後は、健康とお金があってのことだ。」「すべての人に共通して問題になるのは、お金の方だ。」と述べて、「夫婦2人の年金が月額13万円にまで減っていく。」と警鐘を鳴らしている本があります。

 

 

本日紹介するのは、1957年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業、日本専売公社、経済企画庁、UFJ総合研究所などを経て、現在は経済アナリスト、獨協大学経済学部教授森永卓郎さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

森永卓郎『長生き地獄 資産尽き、狂ったマネープランへの処方箋』(角川新書)

 

 

この本は、年金が夫婦ふたりで21万円から13万円に減少する時代に、貯蓄を5000万円に増やすのか、高齢期に月額13万円の勤労収入を得るのか、支出を半減させる老後生活にするのかという「長生き地獄」を避けるために、私たちは、具体的にどう行動すればよいのかを論じている書です。

 

 

本書は以下の7部構成から成っています。

 

1.はじめに 長生きすることは幸せか

2.年金はどうなるのか

3.年金月額13万円時代への対処法

 

4.年金13万円時代に備える3つのライフスタイル

5.自産自消の一人社会実験

6.おわりに

7.付録 新版 アリとキリギリス

 

 

この本の冒頭で著者は、「老後の生活設計をするための一番基本となる数字は、何歳まで生きるのかという余命の数字だ。」と述べています。

 

 

本書の前半では、「年金はどうなるのか」および年金月額13万円時代への対処法」について解説しています。主なポイントは以下の通りです。

 

◆ 実質賃金1.6%上昇という年金試算の想定

◆ 男性の7割以上が70歳まで働き、半数が75歳まで働くという年金試算の想定

◆ 年金積立金の運用利回りは名目5%、実質3%という年金試算の想定

◆ もっとも悲観的なケース試算では、夫婦二人の年金は月額13万円

◆ 人口構造変化の要因だけに絞って、将来の年金給付を推計すると月額13万円

 

◆ 夫婦ふたりの平均消費支出28万円を続けるなら、65歳時点で7200万円の貯蓄が必要

◆ FIREで提唱する「4%ルール」でも、7500万円の貯蓄が必要

◆ 定年までは税の優遇措置がある iDeCo(イデコ)が有利

◆ 年金繰り下げは税金や社会保険料の負担が急増するという「落とし穴」がある

◆ 働き続ける「高齢就業シナリオ」が政府の基本戦略

 

◆ 住民税非課税という最強の武器

◆ お金より大切な健康

◆ 健康を維持していくための基本は、①適度な運動と、②腹八分目のヘルシーな食事

◆ 資産があると介護施設の負担が上がる

◆ 大都市に家を持つと、相続税の問題が出てくる

 

 

この本の中盤では、「年金13万円時代に備える3つのライフスタイル」について、以下のポイントを説明しています。

 

◆ 定年後の住まいは、①大都市に住み続ける、②田舎に移住する、③都会と田舎の中間のトカイナカに住む、という3つのパターンに分かれる

◆ 大都市の最大の魅力は、利便性(買い物、飲食店、医療機関)

◆ 東京は世界で最も危ない都市(地震、水害、感染症、バブル崩壊など)

◆ 大都市の最大の問題は、生活コストが高いこと

◆ 大都市は介護施設の負担が大きく、お金がないと幸せになれない

 

◆ 田舎への移住希望者が急増している

◆ 所得水神の低い田舎が「幸福度」ランキングで上位を占める

◆ 沖縄の魅力は変わりつつある

◆ 田舎暮らしの利点は消費への執着を捨てるミニマリズムが実践できること

◆ 田舎暮らしの問題点は、①雇用が少ない、②物価が高い、③車が必要、④濃すぎる人間関係、⑤地域の無償仕事が多い

 

◆ トカイナカのメリットは、①豊かな自然、②感染リスクが低い、③家賃が安い、④都心に出やすい、⑤生活コストが安い(商業施設、水道料金)、⑥住民が庶民ばかり、⑦雇用機会が多い

◆ トカイナカのデメリットは、①田舎より家賃や住宅価格が高い、②つまらない

◆ 早めの人生設計が重要、田舎やトカイナカへの移住は定年前の方がいい

◆ 年金13万円時代になると、どこに住んでも外食、ライブ、ファッションなどを楽しむライフスタイルはできない

◆ 大都市は、お金のある人にだけ楽しい場所

 

 

本書の後半では、「自産自消の一人社会実験」について紹介しています。主なポイントは次の通り。

 

◆ トカイナカのライフスタイルがコロナで実現

◆ 健康には「緩やかな糖質制限と適度な運動」

◆ マイクロ農業は健康づくりになる(適度な運動+野菜中心の食事)

◆ 農業の楽しみは、自分で決められること、思い通りにならないこと

 

◆ 私設博物館は「住み開き」にすべきだった

◆ 終の棲家として理想の住まいとは、高台で盤石な地盤の立地

◆ 水道、農地の確保ができる

◆ 高齢期の移動手段を確保(三輪自転車)

 

 

この本の締めくくりとして著者は、「仕事の生きがいは、突き詰めると仕事の自由度だ。」と述べています。

 

 

また著者は、次の3冊「長生き地獄」を乗り越えるためのヒントになる本として紹介しています。

 

 

 

あなたも本書を読んで、人生100年時代夫婦ふたり年金13万円になっても生き残るために「暮らしの発想」を転換してみませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2670日目】