新型コロナウイルス感染症の影響を受けて経営が厳しい中小企業が急増している中で、実質的に通年公募になるなど使い勝手がたいへんよくなった「ものづくり補助金申請」のガイドブックの令和2年度改正対応版が刊行されました。
本日紹介するのは、昭和57年に一橋大学を卒業して三井銀行(現・三井住友銀行)に入行し、平成21年に独立して資金調達支援、補助金活用支援などに従事している株式会社ベンチャーパートナーズ代表取締役で城西国際大学大学院兼任講師、関東学院大学非常勤講師で、中小企業診断士の大西俊太さんが書いた、こちらの新刊書籍です。
大西俊太『中小企業・支援者のための ものづくり補助金申請ガイドブック』(税務経理協会)
この本は、令和2年度改正を織り込み、ものづくり補助金の制度内容紹介から、採択されるための事業計画書作成のコツ、そして、採択から交付後までを含めた留意点について、ポイントをわかりやすくまとめた書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.ものづくり補助金の概要
2.ものづくり補助金の申請準備
3.採択に向けた申請書類の作成
4.採択発表以後の留意点
5.補助金申請支援の留意点
6.事業計画書の記載事例
この本の冒頭で著者は、補助金全般にわたる共通事項として、補助金の目的や、補助金と助成金の違い、補助金活用のメリットなどについて解説しています。
とくに以下の4つのメリットについては、中小企業にとっては重要で、ぜひ活用を考えてみるべきです。
◆ 有利な資金調達
◆ 事業リスクの低減
◆ 事業計画の具体化・実現性向上
◆ 対外的信用力向上
続いて、本書では「ものづくり補助金」の概要について、目的と特色、対象、補助金額・補助率や公募実施状況(時期・スケジュール)などについて詳しく説明しています。
また、新型コロナウイルス対応の「特別枠」についても紹介していて、補助金額や補助率に関する優遇措置があるため、要件に該当する中小企業はぜひ活用を検討してみることをお薦めします。
本書の前半から中盤にかけては、ものづくり補助金の申請準備と申請書類の作成について、ポイントが分かりやすく解説されています。事業計画書が最も大切になりますが、主なポイントは以下の通りです。
◆ 電子申請の流れ
◆ 審査項目に沿った事業計画書で、数値計画や根拠の明示など実現性・革新性・収益性の提示
◆ 補助事業の具体的な取組内容と招来展望・実施体制
◆ 会社全体の事業計画
この本の後半では、採択発表以後の留意点および、補助金申請支援の留意点が記載されています。それぞれの主なポイントは対の通りです。
◆ 採択発表から交付決定までの流れ(必要資金への対応など)
◆ 事業期間中から補助金交付後までの流れ(設備投資の実施・実績報告書の提出・確定検査など)
◆ 事業家成功へ向けた取り組み(販路開拓、事業パートナー・展示会など)
◆ 支援の意義と支援対象先の選定(認定支援機関の役割など)
◆ 支援に必要なノウハウとスキル(補助金情報、目利き力、コミュニケーション力、事業計画書作成)
◆ 支援体制と事業計画書作成支援の留意点(計画具体化・全体の整合性・経営者の理解と納得)
◆ 採択後の支援ポイント(報告書作成、事業化支援など)
また、著者の大西俊太さんが書かれた前作『渉外担当者のための補助金活用支援がよくわかる本』(経済法令研究会)を併せて読めばより理解が深まります。とくに補助金活用支援を行う方は一読をお薦めします。
ブログの書評は、2019年6月22日付記事で、こちらです。
本書の最後には、事業計画書の記載事例が3社紹介されていて、参考になります。
ものづくりに携わる中小企業経営者やその支援を行う様々な業界の方々に、最新の情報・ノウハウが得られるこの本を強く推薦します。
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では、今日もハッピーな1日を!【2464日目】