書評ブログ

『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』

人口が減少し続ける日本で、これから何が起こるのかを、「人口減少カレンダー」として明らかにし、その日本を救う10の処方箋を提示している本があります。

 

 

本日紹介するのは、産経新聞論説委員大正大学客員教授(専門:人口政策、社会保障政策)河合雅司さんが書いた、こちらの新刊新書です。

 

 

河合雅司『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(講談社現代新書)

 

 

この本は、人口の絶対数が激減したり、高齢者が激増したりすることによって生じる弊害を、一般に政府や官僚、メディアによって議論されるような曖昧なものではなく、正確な数値予測をもとに考察しています。

 

 

 

本書は以下の5部構成からなっています。

 

 

1.はじめに-静かなる有事

 

2.人口減少カレンダー

 

3.日本を救う10の処方箋-次世代のために、いま取り組むこと

 

4.おわりに-未来を担う君たちへ

 

5.結びにかえて

 

 

本書の冒頭で著者は、人口が激減していく過程で生じる日本の課題を、次の4つに整理し、「静かなる有事」と名付けています。

 

 

◆ 出生数の減少

 

◆ 高齢者の激増

 

◆ 勤労世代(20~64歳)の激減に伴う社会の支え手不足

 

◆ 上記が相互に絡み合って起こる人口減少

 

 

今、世間では、団塊世代が全員、75歳の後期高齢者になる時期を捉えて「2025年問題」と呼び、医療機関や介護施設が不足する懸念を問題にしています。

 

 

しかしながらこの本では、高齢者数がピークを迎える2042年頃が最も深刻な時期で、無年金・低年金の貧しく身寄りのない高齢者が街に溢れるのではないか、と予測しています。

 

 

 

では次に、本書で提示している「人口減少カレンダー」を、以下に紹介します。ここでは結論だけの紹介になりますので、詳細な内容はぜひ、実物の本を手に取って読んでみてください。驚きの内容リアリティ説得力もあります。

 

◆ 2016年 出生数が100万人を切った

◆ 2017年 「おばあちゃん大国」に変化

◆ 2018年 国立大学が倒産の危機に

◆ 2019年 IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ

◆ 2020年 女性の2人に1人が50歳以上

 

◆ 2021年 介護離職が大量発生する

◆ 2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化する

◆ 2023年 企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる

◆ 2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ

◆ 2025年 ついに東京都も人口減少へ

 

◆ 2026年 認知症患者が700万人規模に

◆ 2027年 輸血用血液が不足する

◆ 2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える

◆ 2033年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる

◆ 2035年 「未婚大国」が誕生する

 

◆ 2039年 深刻な火葬場不足に陥る

◆ 2040年 自治体の半数が消滅の危機に

◆ 2042年 高齢者人口が約4000万人とピークに

◆ 2045年 東京都民の3人に1人が高齢者に

◆ 2050年 世界的な食糧争奪戦に巻き込まれる

◆ 2065年~外国人が無人の国土を占領する 

 

いかがでしょうか?それぞれの暦年の右側に、ぜひ自分の年齢を入れて、近い将来から未来に向けて日本に何が起こるのかをイメージしてみてください。

 

 

これらは、統計学的にもほぼ確実に起こる日本の人口減少年齢構成のデータをベースに予測したものです。

 

 

私の場合は、おそらく生きていると思う2050年までを、リアルにイメージすることができて、驚きました。

 

 

しかしながら、2016年に出生数が100万人を切って戦後最低になったことは、実は衝撃的なことで、彼らが成人して産む子供の数は、これより大幅に減ることは、今の傾向から考えて間違いありません。

 

 

ヘタをすると半減に近い数字になってしまうかも知れません。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」(2017年)によれば、彼らが30歳前後になる2045年の出生数は、約70万人と予測されています。

 

 

それから50年後の2095年には、出生数は何と40万人、現在のさらに半分以下に減少してしまいます。当然、日本の人口も急激に減少していきます。今から50年後の2065年に8,808万人という予測です。

 

 

こうした、確実に起きてくる日本の人口減少と、高齢者総数の増加に対して、次の「10の処方箋」を提言しています。

 

1.「高齢者」を削減

2.24時間社会からの脱却

3.非居住エリアを明確化

4.都道府県を飛び地合併

5.国際分業の徹底

 

6.「匠の技」を活用

7.国費学生制度で人材育成

8.中高年の地方移住推進

9.セカンド市民制度を創設

10.第3子以降に1000万円給付

 

これらの「処方箋」は、すべて次世代のために、今すぐにでも取り組むべき課題で、新しい発想ですが、私も共感できることが多いです。

 

 

とくに最後の「第3子以降に1000万円給付」は賛成で、もっと極端にやってもいいのではないか、と思います。例えば、第2子から給付するとか、出産や教育にかかるコストは、大学院や留学まで含めて全て無料にするなどです。

 

 

そのくらい極端な政策を取らない限りは、出生数の急減をゆるやかにすることは不可能だからです。しかも効果が出るまでには相当な年月が必要で、それまでは「移民の受け入れ増加」しか手はないでしょう。

 

 

あなたも本書を読んで、人口減少日本でこれから起きることを、「未来の年表」を見ながら考えてみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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