書評ブログ

『めくるめく元素。』

「化学式なしでも楽しめる! 読めば読むほど元素が面白くなる」――そんな知的エンタメを味わえる一冊があります。

本日紹介するのは、大阪大学工学部応用化学科卒業、大阪大学大学院工学研究科修了後、家電メーカーで半導体研究開発を経て、奈良工業高等専門学校に赴任し、現在は同校物質化学工学科教授を務め、博士(工学)資生堂女性研究者サイエンスグラント受賞宇田亮子(うだ・りょうこ)さんと、大阪府立大学工学部応用化学科卒業、京都大学大学院理学研究科修了後に民間企業勤務を経て学位を取得、博士(理学)で現在は大阪公立大学理学部化学科講師を務める専門は錯体化学・有機元素化学三枝栄子(みえだ・えいこ)さん、さらに京都大学工業化学科卒業、同大学院博士課程修了後、民間企業研究員を経て現職の京都大学工学部理工化学科助教、博士(工学)有機合成化学・高分子化学を専門とする良永裕佳子(よしなが・ゆかこ)さんの3名によるこちらの書籍です。

宇田亮子・三枝栄子・良永裕佳子『めくるめく元素。』(明日香出版社)

本書は、女性科学者たちが語る36の神秘な元素の物語から成っています。

この本の冒頭で著者たちは、「元素だけでなく科学的な現象や、そして時には、著者個人の話も入れ代わり立ち代わり『めくるめく』登場します。」と述べています。

本書の前半では、身近な素材や現象を通じて元素の性質や不思議を紹介しています。主な物語は以下の通りです。

◆ アメとガラスの意外な共通点【ケイ素Si、酸素O】

◆ 口の中の小さな電池【アルミニウムAl、銀Ag】

◆ 植物はグリーンが苦手?【マグネシウムMg、鉄Fe】

◆ アート作品にも登場する貴ガス【ネオンNe、ヘリウムHe、アルゴンAr】

◆ 調味料の「さ」と「し」【ナトリウムNa】

 

この本の中盤では、歴史や文化と結びついた元素の物語が展開されます。主な物語は以下の通りです。

◆ 伝統的な朱色【水銀Hg、硫黄S】

◆ プールのアノニオイ【塩素Cl、ヨウ素I】

◆ ひきつける力のひみつ【鉄Fe、ネオジウムNd】

◆ 「土」のもつ安心感【窒素N】

◆ 海と山と地下を巡る旅【カルシウムCa】

 

この本の後半では、美や生命現象と関わる元素の物語が語られています。主な物語は以下の通りです。

◆ 美しきコバルトブルー【コバルトCo】

◆ 性格の違う3姉妹【水素H、重水素D、三重水素T】

◆ 脳の中の電気【カリウムK、ナトリウムNa】

◆ 月と地球【酸素O、硫黄S、セレンSe、テルルTe】

◆ 世に残る元素名をただ思う【超ウラン元素】

 

この本の締めくくりとして著者たちは、「世界は元素で満ちている。元素は特別な存在ではなく、いつもあなたの周りにいる。」と述べています。

化学式に頼らず、エピソードイラスト・4コマ漫画を交えながら、元素の世界を “知的エンタメ” として描いたユニークな一冊に仕上がっています。ぜひ参考にしてみてください。

また巻末には、「おすすめ本と参考文献」が、物語別に掲載されています。科学的により詳しく正確に知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

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では、今日もハッピーな1日を!【3868日目】