書評ブログ

『「まさか」の人生』

「ニュースになるほどの“不運や失敗”を経験した人は、その後の人生をどう生きたのか?」――その問いに真正面から向き合い、静かな感動と深い洞察を与えてくれる一冊があります。

本日紹介するのは、読売新聞社会部「あれから」取材班によるこちらの書籍です。

読売新聞社会部「あれから」取材班『「まさか」の人生』(新潮新書)

この本は、かつて大きな注目を集めたニュースの当事者たちが、その後どのような人生を歩んできたのかを丁寧に追いかけた、読売新聞の人気連載「あれから」の書籍化です。

 

この本の冒頭で著者は、「“まさか”は誰にでも起こり得る。だが、人生はそれでも続いていく」と語りかけ、想定外の出来事に翻弄されながらも生き続ける人間の強さと脆さを、等身大のまなざしで描き出す姿勢を明らかにしています。

 

本書は以下の20部構成から成り立っています。

1.「ぷよぷよ」生んだ会社がはじけ、消えたワケ

2.山一元No.1営業マン、再就職先では「最低なサラリーマン」に

3.文民警官がまいた種――息子はカンボジアに殉じた

4.「野茂をメジャーに流出させた」300勝投手、名監督にあらず

5.技術は負けていなかった 「一太郎」vsマイクロソフト「ワード」

6.分離手術を受けたドクさんは、ベトさんを失った

7.日本初の生体肝移植、執刀医の「決断」

8.裏切られた名監督 関東学院大学ラグビー部の綻び

9.「あの日」「あの日々」を越えて 三陸鉄道はまだやれる

10.中国で突然拘束、2279日間の苦難

11.初の「セクハラ訴訟」原告A子が実名を名乗った日

12.「お前はグルか、バカか」〈神の手〉にだまされた研究者の20年

13.女子よ見てくれ!「ウォーターボーイズ」部員たちの進路

14.銀座に上陸したマクドナルド1号店、お客が来ない日々

15.「甲山事件」逮捕された「悦っちゃん先生」の50年

16.運営ミスで失格 目前で「五輪内定」を逃した競歩エース

17.「地下鉄サリン事件」が出発点、警視庁初の科学捜査官

18.箱根駅伝、途切れたタスキ 再び「山登り」に挑んだ順大3年生

19.「懸賞生活」乗り越え 喜劇俳優の「自分だからこそできること」

20.挑戦者2万人「アメリカ横断ウルトラクイズ」優勝者の覚悟

 

本書の前半では、1~7部において、「ぷよぷよ」開発者山一證券のトップ営業マン、さらにはドク・ベト兄弟など、一世を風靡した存在や衝撃的なニュースの当事者たちの “その後” を追い、読者の心に残る再出発の物語を描いています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 大ヒット作を失ったクリエイターの挫折と再起

◆ 社会的エリートから一転、再就職で味わった屈辱

◆ 生体肝移植や分離手術に挑んだ医師と患者の絆

◆ 国際貢献の陰で命を落とした若者と家族の思い

◆ 野茂投手メジャー流出の裏にあった葛藤

 

本書の中盤では、8~14部において、理不尽な事件・事故や社会的スキャンダルに巻き込まれた人々が、どのようにして “あの日” を乗り越えてきたのかに焦点を当てています。主なポイントは次の通りです。

◆ セクハラ訴訟の原告女性が実名を明かす決意

◆ 三陸鉄道、関東学院ラグビー部など組織の再生劇

◆ 中国で2279日拘束された日本人の手記と証言

◆ 「神の手」事件で傷ついた学者の信念と再生

◆ 銀座マクドナルド1号店、開業時の苦悩と誇り

 

本書の後半では、15~20部において、困難を乗り越えた人々が人生における “意味” を見出し、自分なりの幸せを築いていく姿を描いています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 箱根駅伝、途切れたタスキと再挑戦の物語

◆ 懸賞生活を終えた芸人の“その後”の自己実現

◆ 「五輪内定」取り消しで見つけた新たな道

◆ ウルトラクイズ優勝者が語る“覚悟”と“責任”

◆ 無名の“あの日”の主人公が語る、人生の現在地

 

この本の締めくくりとして著者は、「“まさか”は誰にも訪れる。だが、そこから始まる物語がある」と語りかけ、再び立ち上がる人々の姿勢に静かなエールを送っています。

 

読み終えたとき、人生の予期せぬ展開に向き合う勇気と、過去を受け入れて前に進む力を得られる一冊です。

話題のニュースの “その後” に興味がある方はもちろん、「今の自分のままでいいのか?」と悩むすべての人に、新たな視点と希望を与えてくれるでしょう。

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3794日目】