「1990年から30年間で賃金が2倍以上に伸びている国が多い中で、日本はほぼゼロなのである。」「大きな原因として挙げられるのが、わが国の中央銀行である日本銀行が長きにわたり、わざわざ賃金が伸びない政策を打ち出してきたことだ。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1955年東京都生まれ、東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業、博士(政策研究)で、1980年大蔵省(現・財務省)入省、内閣府参事官(首相官邸)などを歴任した後、現在は株式会社政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授の髙橋洋一さんが書いた、こちらの書籍です。
高橋洋一『給料低いのぜーんぶ「日銀」のせい』(ワニブックスPLUS新書)
この本は、日銀と一般国民の関係性をテーマとし、日銀が主にバブル崩壊以降に打ち出してきた政策や、賃金が上がっていくしくみについて、基礎中の基礎から解説している書です。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.日本人なら知っておくべき日銀の基礎知識
2.日銀と国債の知られざる関係性
3.国民の生活は日銀が握っている
4.「日銀史観」が国を亡ぼす
この本の冒頭で著者は、中央銀行である日銀の役割について、次の3点を挙げて説明しています。
◆ 発券銀行
◆ 政府の銀行
◆ 銀行の銀行
そして日銀法によれば、そもそもの日銀の目的は、➀物価の安定、および➁雇用の創出を通じて、経済の健全な発展に資すること、としています。
本書の前半では、「日銀と国債の知られざる関係性」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 国債の日銀引き受けが行われてもインフレにならない
◆ 日銀の独立性はあくまで「手段」に関するもの
◆ 通貨発行益は国に納められる
◆ 財政が安心だから国債が買われる
◆ 政府統合バランスシートでは、資産超過で健全
この本の中盤では、「国民の生活と日銀」の関わりについて、次のポイントを解説しています。
◆ インフレ目標2%には理由がある(フィリプス曲線)
◆ マネーストックの増加率が2年後のインフレ率を決める
◆ インフレ期待はEBI(ブレーク・イーブン・インフレ率)を見て判断する
◆ 1990年から日本の賃金は伸びていない(伸び率は世界148ヵ国中で日本が最下位)
◆ インフレ率と賃金はほぼ同時に上昇する
本書の後半では、「日銀史観が国を亡ぼす」ことについて、説明しています。主なポイントは以下の通り。
◆ バブル時代の物価はそれほど上昇していない
◆「平成の鬼平」を持ち上げたマスコミの罪
◆ 貨幣数量説を否定する「日銀理論」
◆「財政破綻」は消費税増税の根拠にならない
あなたも本書を読んで、日本人の給料が低いのはすべて「日銀」のせいであることを学び、考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2572日目】