2010年2月に、①ニート・フリーター、②ワーキングプア(時短労働者)、③障がい者、④シニア、⑤引きこもり、の「五大採用」を実現し、その後それを拡大して「二〇大雇用」の宣言をした企業の取り組みを書いた経営者の本があります。
本日紹介するのは、報道機関向けに「アイエスエフネットグループ 雇用創造宣言」をリリースした株式会社アイエスエフネット代表取締役の渡邉幸義さんが書いた、こちらの書籍です。
渡邉幸義『雇用創造革命』(ダイヤモンド社)
この本は、就労弱者の雇用を進める一企業の取り組みを、初めての採用の時からどのように社内を変え、会社の制度や環境として定着させてきたかの経緯を含めて記しています。
それはまさに、引きこもりも知的障がいも戦力にする執念の経営とも言えるものです。それはとくに税金面から考えると、意義が分かりやすい、と著者は言います。
例えば、働けるにもかかわらず働いていない障がい者は、障害年金などの社会保障に頼らざるを得ません。つまり税金で生活を維持していくことになります。
一人の障害者に必要な税金は年間約400万円と言われ、40年間だと2億円弱にもなります。しかし、働くことができれば、東京都の最低賃金790円(時給)で40年間だと1300万円の納税者になるのです。つまり、2億円の歳出が1300万円の歳入になります。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.すべては、障がい者雇用から始まった
2.障がい者雇用への共感から生まれた可能性
3.引きこもりと就労弱者の再出発
4.雇用を通して人も社会も変えていく
5.「歩」が「金将」に変わる組織
6.「選択と集中」から、「多様化と創出」へ
この本の冒頭で著者は、障がい者雇用を始めたことが企業文化の礎になった、と述べています。
障がい者を雇用し始めたときは、「そんな余裕が会社にあるのか」という声がきかれたそうです。しかし、真摯に仕事に向き合おうとするFDメンバー(障がい者)の姿を見て、社員が何かを感じ始めた、と言います。
FDメンバーは何事にも一生懸命で、仕事ができる喜びと会社の役に立ちたいという思いがあふれていました。そんな彼らから、一緒に働く社員が、困っているFDメンバーに声をかける、サポートする、一緒にやってみる、・・・など、自然に「利他の意識」が社員に芽生えたそうです。
本書には、履歴書を見ない、学歴や職歴を一切考慮せず、「人間性」のみを見極めて選考する「採用」を行う株式会社アイエスエフネットの取り組みが、試行錯誤を経ながらも成功している実践例が詳しく紹介されています。
それは、普通の人である「歩」が重要な戦力である「金将」になる執念の人材育成であり、経営です。
将棋で、一歩ずつ前にしか進めない「歩」が、敵陣へ入って成ると「金将」という、前後左右(斜め後ろを除く)に動くことができる「強力な重要戦力」になる様子に例えて、素直で人間性に優れた「未経験・素人である普通の人材」が、丁寧な指導と実戦経験によって成長し、会社にとって「強力な戦力」になることを表わしています。
またこの本の中盤から後半にかけて、著者の渡邉さんが25歳の時からずっと続けている「未来ノート」について記されています。これは著者の座右の書であるD・カーネギー『道は開ける』(創元社)に啓発されて書き始めたそうです。
著者の「未来ノート」は、月別の「行動計画」を書くページと、毎日の行動計画詳細を書き込む「今日のスケジュール」のページに分かれています。
「行動計画」のページには、中長期計画および今期の目標を達成するために行うべきアクションアイテムを大項目、中項目、小項目とブレイクダウンさせながら書き出していきます。
それを「今日のスケジュール」に落とし込んでいくことで、やるべきことは確実に実行されるという仕組みになります。詳細は、2008年に著者が出版した『「未来ノート」で道は開ける!』(マガジンハウス)を参照してみてください。
この「未来ノート」を渡邉幸義さんは毎日、書き続けていて、それは師匠の稲盛和夫さんが言う「ど真剣」に生きているからだ、と述べています。
どんな世界でも「継続は力なり」ということだろう、と著者は述べていて、私もまったく同感です。
あなたも本書を読んで、「歩」が「金将」に変わる組織の素晴らしさを学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を