「学歴は、称号として経歴を飾るどころか、烙印にさえなりうるのです。学歴社会が崩壊に向かう現代、ありすぎる学歴はむしろ成功を遠ざけるのでしょうか。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、東北大学大学院法学研究科博士課程前期終了(法学修士)、在学中に日本初の犯罪加害者家族を対象とした支援組織を設立、今まで支援してきた加害者家族2,000名以上に及ぶNPO法人 World Open Heart 理事長の阿部恭子さんが書いた、こちらの書籍です。
阿部恭子『高学歴難民』(講談社現代新書)
この本は、想像もできない波乱万丈な人生を送る高学歴難民の実態に迫る書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.犯罪者になった高学歴難民
2.博士課程難民
3.法曹難民
4.海外留学帰国難民
5.難民生活を支える「家族の告白」
6.高学歴難民が孤立する構造
この本の冒頭で著者は、「現在、日本で起こる殺人事件の約半数は、家族間で起きていますが、進路を巡る親子の対立から生じる事件が絶えない背景には、親の学歴偏重主義が隠れていることがあります。」と述べています。
本書の前半では、「犯罪者になった高学歴難民」および「博士課程難民」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 家族に迷惑をかけられないと振り込め詐欺に加担
◆ 悩みを共有できずに万引き依存症に
◆ ネットで脅迫、ストーカーに豹変
◆「困窮型」と「支配型」に分けられる
◆ セックスワークで支える難民生活
◆ 高学歴貧困家庭、学歴至上主義の家庭
◆ 難民生活を支えるアルバイト
◆ 高学歴女性とセックスワーク
この本の中盤では、「法曹難民」および「海外留学帰国難民」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 法科大学院が生んだ難民
◆ 貧すれば鈍すに、炊き出しに並ぶ、新興宗教に入信
◆ ニートからロースクール、「ヒモ」に
◆ 法律事務員がタクシー運転手に
◆ 日本社会に馴染めない「帰国子女難民」
◆ 終着駅は故郷
◆ リベンジ留学から社会貢献活動へ
◆ 冒険人生の終着点は幸せとは限らない
本書の後半では、「難民生活を支える家族の告白」および「高学歴難民が孤立する構造」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 難民生活の長期化は家族にも多大な影響
◆ 教育投資2,000万円でも無職の子ども
◆ 無職夫を支える妻
◆ 家族の犠牲は報われない
◆ 高学歴難民が突きつけられる自己責任
◆ 中年高学歴難民は前科者より厳しい就職事情
◆ ただの難民と異なる高学歴難民、猟奇殺人も
◆ 人脈を活用できない「高学歴コンプレックス」
この本の締めくくりとして著者は、「アカデミク・ハラスメント」も高学歴難民を生む要因の一つと述べています。
あなたも本書を読んで、高学歴難民の実態を知り、日本社会をさまよう「新しい弱者」の正体に目を向けてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3259目】