書評ブログ

『コロナの時代の僕ら』

2020年春、イタリアのローマにて非常事態下で綴られたイタリア人作家による、今読むべきエッセイ集が刊行されました。

 

 

本日紹介するのは、1982年トリノ生まれ、トリノ大学大学院博士課程(専攻:素粒子物理学)を修了、2008年にデビュー長篇『素数たちの孤独』(ハヤカワepi文庫)が200万部のベストセラーとなり、イタリアで最高峰のストレーガ賞、カンピエッロ賞新人賞などを受賞している作家パオロ・ジョルダーノさんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

パオロ・ジョルダーノ『コロナの時代の僕ら』(早川書房)

 

 

この本は、「新型コロナウィルスは、こんなにも短期間で世界的流行を果たした最初の新型ウィルスなのだ」というイタリアを代表する小説家である著者が、この災いに立ち向かうために僕らは何をすべきか、何をしてはいけなかったか、そしてこれから何をしたらよいかについて、語っているエッセイ集です。

 

 

 

本書は以下の27篇のエッセイおよび「あとがき」から成っています。

 

 

1.地に足を着けたままで

 

2.おたくの午後

 

3.感染症の数学

 

4.アールノート

 

 

 

5.このまともじゃない非線形の世界で

 

6.流行を止める

 

7.最善を望む

 

8.流行を本当に止める

 

 

 

9.慎重さの数字

 

10.手足口病

 

11.隔離生活のジレンマ

 

12.運命論への反論

 

 

 

13.もう一度、運命論への反論

 

14.誰もひとつの島ではない

 

15.飛ぶ

 

16.カオス

 

 

 

17.市場にて

 

18.スーパーマーケットにて

 

19.引っ越し

 

20.あまりにたやすい予言

 

 

21.パラドックス

 

22.寄生細菌

 

23.専門家

 

24.外国のグローバル企業

 

 

 

25.万里の長城

 

26.パン神

 

27.日々を数える

 

28.著者あとがき「コロナウィルスが過ぎたあとも、僕が忘れたくないこと」

 

 

 

このエッセイ集は、今回のコロナウィルスの流行が、僕らの時代最大の公衆衛生上の緊急事態であることを指摘し、現在の世界がいかなる特徴を持ち、どんな知恵の心を持って対峙すべきか、多くの示唆に富む考察が記されています。

 

 

 

私がとくに共感し、感銘を受けたポイントを以下に挙げておきます。

 

 

◆ 世界がグローバル化され、相互につながり、絡み合っている

 

◆ 注目すべきは感受性人口(新型ウィルスがまだ感染させることのできる人口)が世界に75億人いること

 

◆ 感染者数の増加は「アールノート」と呼ばれる基本再生産数の速いスピードで進む

 

◆ 最善を望むことが必ずしも正しい希望の持ち方とは限らない

 

 

 

◆ ワクチンには、人々を感受性人口から発症を経ずに隔離人口へ移行させる数学的な力がある

 

◆ 高速道路で制限速度を超えるという行為は、思っているよりもずっとずっと危険なことだ

 

◆ 自分の損得勘定だけにもとづいた選択はベストな選択とは言えない

 

◆ 真のベストな選択とは、僕の損得とみんなの損得を同時に計算に入れたものだ

 

 

 

◆「More is Different」すなわち、ひとりひとりの行動の積み重ねは、単なる合計とは別ものだ

 

◆ 超感受性保持者の各人が持つ脆弱性は、高齢や病歴だけでなく、社会的要因、経済的要因など様々な理由がある

 

◆ 人間は互いに作用しあい、「誰もひとつの島ではない」

 

◆ 野生動物の異種混合は病原体の伝染には有利な条件だ

 

 

 

◆「中国の人間はぞっとするような動物を食べる。しかも生きたままで」

 

◆ 今度の新型ウイルスの流行は、何もかも「お前らのせい」ではない、どうしても犯人の名を挙げろと言うのならは、すべて僕たちのせいだ

 

◆ 環境破壊で引っ越しを余儀なくされた微生物にとって、どこにでも自由に移動する人間は「理想の引っ越し先」だ

 

◆ 増え続ける食糧需要が、手を出さずにおけばよかった動物を食べる方向に無数の人々を導く

 

 

 

◆ 新型ウィルスの流行は一つの症状に過ぎず、本当の感染は地球全体の生態系レベルで起きている

 

◆ 感染症の流行は考えてみることを僕らに勧めている

 

◆ 僕たちが属しているのが人類と言う共同体だけではないこと、自分たちが壊れやすく見事な生態系におけるもっとも侵略的な種であること

 

◆ ウィルスに知性がないというのは本当かも知れないが、すぐに変異し状況に適応できるという一点では人間に勝っている

 

 

 

本書の最後で著者は、「僕らは人生のすべての日々を価値あるものにする数え方を学ぶべきなのではないだろうか」と述べています。

 

 

 

そして、「著者あとがき」として、「コロナウィルスが過ぎたあとも、僕が忘れたくないこと」のリストを作っておこう、と提言しています。

 

 

 

著者が挙げているリストで、印象的なものは以下の項目です。

 

 

◆ 今回のパンデミックの原因が、自然と環境に対する人間の危うい接し方、森林破壊、僕らの軽率な消費行動にある

 

◆ パンデミックがやってきた時、僕らの大半は技術的に準備不足で、科学的に疎かった

 

◆ どうしたらこの非人道的な資本主義システムをもう少し人間に優しいシステムにできるか

 

◆ 人間が環境とのつき合い方をどう変えるべきなのか

 

 

 

あなたも本書を読んで、「日々を数え、知恵の心を得よう。この大きな苦しみが無意味に過ぎ去ることを許してはいけない。」というメッセージを心に刻み、日々を大切に生きていきませんか。

 

 

 

2020年6月14日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第125回】イタリアの人気小説家が語る「コロナの時代の僕ら」にて紹介しています。

 

 

 

 

 

毎日1冊、ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。

 

 

 

 

では、今日もハッピーな1日を!