話し方やプレゼンに関する相談や、課題を抱えている方へのアンサーとして、聴き手の心をつかんでしまう話のつくり方を書いた本があります。
本日紹介するのは、元NHKキャスターで、現在はWACHIKAワチカ(話す力)代表として、話し方を軸としたプレゼンテーション・コミュニケーションの企業団体研修・講演をのべ15,000人以上に行う他、経営層・管理職向けパーソナルトレーニングやコンサルティングなどを行う阿隅和美さんが書いた、こちらの新刊書籍です。
阿隅和美『心をつかみ思わず聴きたくなる話のつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)
この本は、以下の1つでも当てはまる方に向けて書かれたものです。
◆ 相手の反応がない、退屈そうで興味を示さない
◆ 「忙しいからまとめて話して」と言われる
◆ 「で、要するに何が言いたいの?」と詰問される
◆ 「話がわかりにくい」といつも言われる
◆ 自分が伝えたかったことと、違う内容で伝わっている
◆ 緊張すると頭が真っ白になり、何を言っているのかわからなくなる
本書は以下の6部構成から成っています。
1.「相手にされない話」が「思わず聴きたくなる話」に変わる
2.続きが聴きたくなる「つかみ」をつくる
3.TVが教えてくれた「簡潔」に伝える技術
4.人を選ばない「わかりやすく」話す技術
5.「ストーリー」を語り、人の心を動かす
6.「緊張」も怖くない、人前・初対面に強くなる「印象マネジメント」
この本の冒頭で著者は、「なぜあなたの話は伝わらないのか」という悩みに対して、話の主役を「自分」にしていることが大きな理由だ、と結論を述べています。
つまり、相手が興味・関心を持って、話の続きを聴きたくなるには、話の主役を「自分」から「相手」に180度切り替えて話す、ことが大切です。
本書では、「聴きたくなる話し方」の技術で人生を変えるため、「基本」が成功の近道であり、基本の型をこの本で身につけるよう、丁寧に説明しています。
まずは、「聴きたいと思わせる話の仕組み」として、仮説を立てることを勧め、ワークシートを使って、「つかみ」をつくるよう提唱しています。
ワークシートなど中味の詳細については、ここでは触れませんので、ぜひ本書を手に取って学んでください。分かりやすく具体的に書かれていて、自動的に「つかみ」をつくることができます。
次に、相手の興味・関心を引く手がかりとして、次の5つを紹介しています。
1.損得
2.「プラス」の変化
3.「楽しい」「喜び」の感情
4.「こうなりたい」の裏に隠れる理想とのギャップ
5.身の回りの世界が良くなるコト・モノ・ヒト
また著者の阿隅さんが、日々の取材やインタビューなど、アナウンサーのファーストコンタクトの経験から学んだ、「相手の心をつかむ5つの言葉がけ」が以下の通り、披露されていて参考になります。
1.旬な話題を切り取る共感話
2.共通点で心の距離を近づける
3.相手の気持ちを代弁する
4.ほめる
5.自己開示
さらに、TVが著者に教えてくれた数々の技術を、順に整理して、とくに大切なことを本書では伝えてくれます。一つひとつが一冊のビジネス書のテーマにもなる重要な技術ノウハウで、私も改めて「大切な技術」を確認できました。以下に紹介します。
◆ 「箇条書き 要点まとめシート」をつかって、自動的に「簡潔な話」をつくる
◆ 一文を短くして、「つなぎ言葉」を自由自在に使う
◆ 相手に合せて「わかりやすい言葉」に言い換える
◆ 「自分」ではなく「相手」が理解しやすい順序で話す
◆ マジック3、キーワード化、サウンドバイト、体言止め、反語、繰り返し、前置き強調フレーズなどフックを仕掛ける
◆ PREP法で論理性を持たせる
◆ 「人の心を動かすストーリー」をつくる
この中で、フックの仕掛けや、ストーリーについては、この本の中では具体例が記されていて、すぐに実践で使えるようにわかりやすく解説されているので、ぜひお読みいただき、使ってみてください。
本書の最後のテーマとして、「緊張」にいかに対処して、第一印象を良くして結果を出すか、という「印象マネジメント」が採り上げられています。
ビジネスにおいて、「印象」がいかに重要かということについては、私も最近、次の本を読んで改めて認識し、実践しているところです。
著者の阿隅さんは、アナウンサーとして、緊張していてもイレギュラーな場面でも結果を出せるよう、試行錯誤の上に習得した方法論のエッセンスとして、「印象マネジメント法」を公開しています。
ここを読むだけでも、すぐれたビジネス書の数冊分で伝えてくれるエッセンスが学べてお得です。
声のトーン、抑揚、滑舌、発音、表情、立ち居振る舞いなど、話し方の要素を改善すれば、信頼を勝ち取る印象を手に入れることができる、と著者は言います。
つまり、印象がプラスに変わると、相手の気持ちもプラスに作用し、コミュニケーションが円滑になるのです。
本書の最後に記されている「印象マネジメント法」のポイントを以下に挙げておきます。
◆ 心の扉を開く鍵になる「笑顔」を磨く
◆ ヒトは悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだ(笑顔についても同じことが言える)
◆ 相手の目を直視しないアイコンタクト
◆ 立ち居振る舞いを見直す
◆ 第一声はベストボイスで感情に訴える
◆ 意識して抑揚をつけた「声」を出す
◆ 目的を意識し、「相手」に意識を向け、腹式呼吸で声を出す
とくに、腹式呼吸で「声」を出すことは、緊張を和らげるうえでも重要で、慣れるまでは以下の簡単なボイストレーニングを著者は奨めています。
1.正しい姿勢の確認をする
2.笑顔の確認をする
3.腹式呼吸の体の使い方を確認する
4.気持ち良く声を放つ
本書の巻末には、先ほど紹介しました2種類のシートと、参考文献として、とてもいい次の3冊が紹介されています。
あなたも本書を読んで、話の主役を「相手」にした、心をつかみ思わず聴きたくなる話のつくり方を身につけてみませんか。
2020年4月12日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』、今日は【第62回】思わず聴きたくなる話とは?にて紹介しています。
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では、今日もハッピーな1日を