あおり運転、児童虐待など、怒りを抑えきれずに社会的な事件につながるケースが数多く起こっている中で、「『キレる』という感情は、人間にはそもそも備わっているもの」という視点に立ちつつ、怒りの正体を解明しながら、怒りの感情を活用して上手に生きていく方法を探っている本があります。
本日紹介するのは、1975年生まれ、東京大学工学部卒業、東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了、現在は脳科学者、医学博士、認知科学者の中野信子さんが書いた、こちらの書籍です。
中野信子『キレる! 脳科学から見た「メカニズム」「対処法」「活用術」』(小学館新書)
この本は、「得するキレ方」と「損するキレ方」との違いを対比して説明し、「尊敬できるいい人」になることを目指して論を進めている書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.損するキレ方、得するキレ方
2.キレる人の脳で起こっていること
3.キレる人との付き合い方
4.キレる自分との付き合い方
5.戦略的にキレる「言葉の運用術」
この本の冒頭で著者は、“ キレる ” というコミュニケーションスキルを学ぶことについて述べています。
それは、“ キレ ” なければ搾取される、ということで、“ よいキレ方 ” は正当な怒り、相手に強くこちらの気持ちや意思を伝えるためのものだ、としています。
続いて本書では、キレる人の脳で起こっていることを、脳科学の立場から解説しています。
主なポイントは以下の通りです。
◆ 闘うホルモン「ノルアドレナリン」の働き
◆ 前頭前野の機能低下
◆ 老化による前頭前野の萎縮
◆ ドーパミンによる正義の制裁
◆ 愛情ホルモン「オキシトシン」の濃度が高まる
◆ 安心ホルモン「セロトニン」の作用
次に、キレる人との付き合い方を、12のケースにより著者は説明し、さらに「キレる自分」との付き合い方を 6つのケースに基づいて紹介しています。
この本の最後では、「戦略的にキレる」ことについて、著者の考え方を披露しています。
私が共感し、印象に残ったのは以下のポイントです。
◆ 自分の不利益が見えたら、反論すべき
◆ 気持ちはキレていい、言葉でキレてはいけない
◆ 面倒な人だと思わせる
◆ ユーモアで本質を伝える
◆ 苦手なことは自分でやらない
◆ 相手との間に線引きをする
◆ 持ち上げてから、人格を責めず行動を責める
◆ ニコニコしながら主張を通す
◆ 「日本語の運用力」を身に付ける
◆ 誰も損しないキレ方は大きな武器
この本を読めば、時には健全に「キレる」ことも必要で、脳のメカニズムから見ても、「キレる」ことは正常なことであることが分かります。
あなたも本書を読んで、「都合のいい人」にならないように、「いいキレ方」を学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!