「いま、地方銀行は空前の再編ラッシュを迎えている。それは、地銀が稼げなくなっている、という単純な理由による。」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、読売新聞東京本社経済部の担当記者が、金融庁、金融機関などに行ってきた取材をまとめた、こちらの新刊新書です。
読売新聞東京本社経済部『ドキュメント 金融庁VS.地銀 生き残る銀行はどこか』(光文社新書)
この本は、銀行を取り巻く環境の大きな変化、すなわちデフレの長期化、人口の減少、高齢化などの影響で企業や個人への融資が先細りの傾向になり、マイナス金利政策もあって「利ざや」や国債の運用益が減少している中で、「日本の金融は今」を描いた、読売新聞経済面の企画記事「かわる金融」シリーズを書籍化したものです。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.激震
2.新・最強官庁
3.金融動乱とともに歩んだ金融庁
4.「目利き力」を磨け!
5.手数料を開示せよ!
6.金融の未来予想図
本書の冒頭で著者は、地方銀行が今、空前の再編ラッシュを迎えているのは、「地銀は稼げなくなっている」からだ、と述べています。
地銀106行の実質業務純益は、2016年3月期では3年連続で減少し、1兆5905億円となり、直近のピークだった2007年3月期の2兆円から、約4000億円、率にして20%の利益がなくなりました。
地銀の再編は2010年代に入り、予定分も含めて15件にのぼり、とくに2015年以降に加速しています。2017年は、三重銀行と第三銀行の統合、近畿大阪銀行、みなと銀行、関西アーバン銀行の統合、北越銀行と第四銀行の統合が、相次いで発表されました。
現在の地方銀行は、かつてのような不良債権に悩まされているわけではなく、むしろその後遺症として、「目利き力」のなさや、地方経済への貢献ができなくなっている点が、金融庁から厳しく指摘されています。
森信親・金融庁長官は、そのことに強い危機感を抱いている、と言われ、将来を見据えた経営改善に取り組むよう、地銀に呼び掛けています。
森長官による新たな金融行政として、金融庁は以下の政策を矢継ぎ早に出して来ています。
◆ 金融検査マニュアルの見直し
◆ 銀行が窓口で販売する保険の手数料開示
◆ 担保主義ではなく、事業性評価による融資など「目利き力」の強化
◆ 地方経済への貢献
◆ 貯蓄から資産形成へ
◆ 金融とテクノロジーを融合した新サービス、「フィンテック」登場への対応
この本でとくに注目すべきは、最後に記されている「金融の未来予想図」です。地銀の再編や、みずほFGとソフトバンクの協業。三菱UFJフィナンシャル・グループが主導する仮想通貨などの動向はとくに注目されます。
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では、今日もハッピーな1日を