「GDPが増えれば、人々は本当に幸せになれるのでしょうか。」と問いかけている本があります。
現代社会では「経済成長」が豊かさの象徴のように語られます。しかし、その裏で見落とされてきたものがあるのではないか――そんな問いから出発するのが本書です。
本日紹介するのは、1973年神奈川県生まれ、京都大学経済学部卒業、同大学大学院博士後期課程修了、博士(経済学)、青山学院大学経済学部教授の中村隆之さんが書いた、こちらの書籍です。
中村隆之『今こそ経済学を問い直す 切実な「必要」の声を聴くために』(講談社現代新書)
この本は、経済思想史を専門とする研究者が、「必要」という視点から経済学の歴史を読み直して経済思想史をたどりながら、経済学そのものを問い直す一冊です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.経済学と「必要」
2.スミスとマルクスー「生産・消費」と「必要・分配」という二つの目標
3.J・S・ミルとマーシャルー正統派経済学の「必要」への向き合い方
4.ケインズー「必要」に配慮する兆し
5.福祉国家体制の失敗ー利権化と対話の欠如
6.「必要」の声を聴くーI・M・ヤング
7.「必要」に関するもう一つの経済
本書の前半では、経済学の基本思想と「必要」という概念が整理されます。近代経済学は、生産や消費を中心に発展してきました。しかし、「人間にとって本当に必要なものは何か」という問いは、必ずしも十分に扱われてこなかったと著者は指摘します。主なポイントは以下の通りです。
◆ 経済学では「必要」という概念が軽視されてきた
◆ 「働かざる者、食うべからず」という価値観
◆ 経済成長中心の発想の限界
◆ アダム・スミスの思想の再検討
◆ マルクスが見た資本主義の問題
この本の中盤では、経済学者たちの思想を通じて「必要」という概念がどのように扱われてきたのかが考察されます。経済学の歴史を振り返ると、市場だけでは解決できない問題が常に存在してきたことが見えてきます。主なポイントは次の通り。
◆ J・S・ミルの漸進主義
◆ マーシャルの「組織」への投資
◆ ケインズの社会的視点
◆ 市場評価の限界
◆ 福祉国家体制の課題
本書の後半では、「必要」の視点から新しい経済のあり方が提案されます。単なる成長や効率だけでなく、人間の生活にとって本当に必要なものを重視する経済のあり方が問われています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 構造的不正義という問題
◆ 市場経済の限界
◆ コミュニティの重要性
◆ 多中心的な社会の発想
◆ CSR支出の義務化という提案
人口減少や低成長の時代に入った日本において、「豊かさとは何か」を考え直すことは非常に重要なテーマです。経済学をより深く理解したい方、そして「成長なき時代の豊かさ」を考えたい方におすすめの一冊です。
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では、今日もハッピーな1日を!【4033日目】