「なぜ多くの会計事務所は、本当の経営アドバイスができないのか?」と、疑問を投げかけている書があります。
本日紹介するのは、社員ゼロ人の創業から28年で、税理士・行政書士の資格を持ちながら、社員160名の多角経営の会計事務所を経営する井上一生さんが書いた、こちらの新刊電子書籍です。
井上一生『経営道』(エーアイ出版)
この本は、中小企業経営者や、これから起業をしようという志のある方に向けた、経営に大切な「原理原則」を記した、貴重な一冊です。
著者の井上一生さん自身が、自らの会社を経営し成長させてきた体験と、数多くの中小企業へ、本当の意味での経営アドバイスを実践してきた実績に裏付けられた提言なので、説得力があります。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.なぜ多くの会計事務所は、本当の経営アドバイスができないのか?
2.「生存対策」、「先義後利」、「人時生産性」
3.「心構え」編
4.「絶対にやってはいけない」編
5.「会社創業:実践」編
6.経営にブレーキをつけろ!退路を断つな!
7.人生を美しく見切る
本書の冒頭で著者は、父親が経営する会社(建設業の生コン屋)を子どもの頃から見てきて、「手形という不幸の紙切れの理由を知りたくて簿記を学び、お袋を不幸にする経営者ではなく、立派な経営者になりたくて税理士資格を取った」と述べています。
そしてまず、会社は、一か八かの博打のような大きな売上を目指すのではなく、会社が活動し続けられる状況を最優先につくる「生存対策」をまず考えるべきだ、と提唱しています。
著者が述べる「生存対策」とは、まず低い固定費です。家賃が安い、人件費もオーナーである自分と給料の安い弟子ひとりだけなど、損益分岐点売上を極端に低くすることが重要です。
また本書の初めに出てくる言葉で、「ひこばえ(=孫生え)」という言葉が印象に残ります。「萌芽更新」(ほうがこうしん)を意味する言葉で、幹とは別に生えてくる新しい芽のことです。
とくに次の世代に経営をバトンタッチする際に、第二創業として「ひこばえ」創業を著者の井上さんは提唱しています。
次に、経営とは科学で、「経済合理性を追求する」ことが、経営者の行動原理だけれども、「先義後利」という考え方が大切だ、と言います。これは、東証一部上場の会計ソフトメーカーPCAの創業者である故・川嶋正夫さんに著者が教わったそうです。
つまり、「義を通し、人様の役に立つ商売をする。それによって得た利益を世のために使う。それが正しい商売の道である。」という考え方が、「先義後利」です。
また、著者のメンター(師匠)であるサイゼリア創業者の正垣康彦さんからは、「人時生産性」という数値の重要性を学んだ、と著者は言います。
会社が赤字である最大の原因は人件費であり、人件費と収益性の関連性を管理すれば、利益はおのずと付いてくる、ということです。
人時生産性とは、「1日や1年に生じた店舗の粗利益を、その日やその1年に働いた従業員の総労働時間で割ったもの」です。
正垣さんは、この数値を最低でも「1人6000円にしなくちゃいけない」と話しているそうです。また、正垣康彦さんは、ROI(投資収益率)を20%にする、という経営指標も提唱されています。
もう一人、著者の井上さんのメンターとして、イトーヨーカドー、西友、ニトリ、サイゼリアなど、戦後日本の流通業界の半分を指導したと言われる故・渥美俊一さんが紹介されています。
渥美さんは、「生き甲斐にはハードワークが絶対に不可欠なのである。つまり生き甲斐とは、多数の人々の幸せをつくることだ。」と、その著書『商業経営の精神と技術』(商業界)の中で、述べています。
井上一生さんは、本書の後半では、さらに経営者としての心構え、絶対にやってはいけないこと、そして実践編として、①事業計画、②資金管理、③業務運営、について、具体的に経営のポイントが記されていて、ほんとうに参考になります。
ここでは詳細は敢えて書きませんので、興味ある方はぜひ、この電子書籍をお読みください。経営者として、学べることが数多くある、と思います。
そして最後に本書では、「経営にブレーキをつけろ!」ということと、「退路を断つな!」という、経営にとって非常に重要なことを述べています。
ぜひ直接本書を手に取って、確認してみてください。経営の指針として、本書を一読されることを心からお勧めします。
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では、今日もハッピーな1日を