書評ブログ

『稼ぎ続ける力「定年消滅」時代の新しい仕事論』

「働き方が多様になるこれからの時代に求められるのは個人の能力だけであり、年齢は関係なくなる」「『定年消滅時代』はすでに到来している」と述べて、年齢にこだわらずに仕事をしていく「稼ぎ続ける力」を提唱している本があります。

 

 

本日紹介するのは、1943年福岡県生まれ、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インクに入社後、本社ディレクター、日本支社長などを歴任して1994年に退社、現在は経営コンサルタントでビジネス・ブレークスルー(BBT)会長、BBT大学学長大前研一さんが書いた、こちらの書籍です。

 

大前研一『稼ぎ続ける力「定年消滅」時代の新しい仕事論』(小学館新書)

 

 

この本は、2019年に上梓した単行本『50代からの「稼ぐ力」』(小学館)再編集して加筆・修正し、インバウンドの拡大を見越して提案した新ビジネスについては、コロナで外国人観光客が激減したため割愛し、新たな観光需要の創出策を提案している書です。

 

 

本書は以下の8部構成から成っています。

 

1.はじめに「稼ぐ力」は見えない貯金である

2.[近未来予測]2040年に「老後」は存在しない

3.[思考改革]人生を「国任せ」にするな

4.[実践編1]会社を実験台にして「稼ぐ力」を身につける

 

5.[実践編2]” お金を生む ” 発想力を磨く

6.[実践編3]稼げるビジネスはこれだ

7.[終活編]稼いだお金は死ぬまでに使い果たそう

8・おわりに-稼ぐ「発想力」の鍛え方

 

 

この本の冒頭で著者は、本書のメッセージは、50歳までに出世していなくても「稼ぐ力」さえあれば、自分の好きな人生を生きることができるという、より前向きなものである、と述べています。

 

 

要するに「稼ぐ力」があれば、それが一番の「蓄え」になる、いわば「見えない貯金」であって、ふだんは使わなくてもよいが、いざとなった時は繰り出せばよいのである。

 

 

そこで本書では、自分の人生を輝かせるために必要な「稼ぐ力」をどう身につければよいか読者への提言をまとめています。

 

 

この本の前半では、2040年に「老後」は存在しないという近未来予測と、人生を「国任せ」にしないという思考改革について述べています。ポイントは以下の通り。

 

◆ 新型コロナ禍で失業や自殺が増加

◆ 現役・将来世代への配慮がない「国家ビジョン」なき政策

◆ 2040年には「3人に1人は65歳以上」という現実

◆ 答えがない時代を生きる能力は、➀仮説を立てる論理力IQ、②寛容性を持って議論を引っ張っていくリーダーシップEQ、③全体像をつかみ見えないものを見る構想力(IQの上位概念)

 

◆ 年金受給は75歳からに引き上げられるので、定年後 ” 魔の15年 ” ができる

◆ 年金生活者に襲いかかる増税の罠

◆ 消費が縮小する「低欲望社会」のワナ

◆ 遅くとも50代から明確なライフプランとファイナンシャルプランを立てて一致させる

◆ 月15万円を目標に稼ぐ

 

 

この本の中盤では、「稼ぐ力」を身につける実践編として、「会社を実験台にする」「お金を生む発想力」「稼げるビジネス」という3つの観点から考察しています。いずれも実践的な提言で、私がとくに共感し実践しているものは次の通りです。

 

◆「特殊な技能」を使って副業・兼業を

◆ いま求められるスキルは「プログラミング」か「ソフトを使いこなす力」

◆ マーケティング・オートメーションなどサイバー社会における新事業の構築

◆ 新型コロナ禍での成長分野は「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」

◆ サイバー空間は習うより慣れろ

 

◆ シニアの起業は、自分だけでできる、借金をしない、「ドゥ・モア・ベター」の発想でやらないこと

◆20年後に生き残る会社になるには「55歳社内起業制度」がお薦め

◆ 経済ニュースやシャッター街で話し込んで発想力を鍛える

◆ AIやIoT、IoEがこれからの社会を変える

◆ Idle Economy(アイドル・エコノミー)の考え方を実践する

 

◆ 増え続ける「空き家」をビジネスに

◆ 都心のオフィス需要は4割で事足りる

◆「2拠点生活」の増加と ” 住宅版メルカリ ”

◆「観光版」日本列島改造論を提案

◆「料理大学」の創設と「美食の街」の創造

 

 

本書の終盤で著者は、「終活編」として、死ぬまでにお金を使い果たすことを提唱しています。ポイントは以下の通り。

 

◆ ファンドラップ、アパート経営、REATへの投資はしない

◆ 仮想通貨は危険

◆「人への投資」でやりがいも増える、エンジェル投資家に

◆「人生百名所」旅行のススメ

 

 

この本は、シニア企業の提案、50代からの準備、死ぬまで稼ぎ続けるなど、私が最新著書『定年ひとり起業』(自由国民社)で提唱している生涯現役の働き方と共通する提案が多く、強く共感すると同時に、大きな勇気をいただきました。

 

 

ブログの書評2021年3月13日付記事でこちらです。

https://jun-ohsugi.com/column/teinenhitorikigyou/

 

 

あなたも本書を読んで、「定年消滅」時代の新しい仕事論に触れ、「稼ぎ続ける力」を身につけて人生を変えてみませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2517日目】