超難関試験を突破したひと握りの超エリートである霞が関の官僚の裏も表も知り尽くした著者の実体験にもとづく究極の「官僚論」と言える本があります。
本日紹介するのは、県立浦和高校から同志社大学神学部を卒業し、元外務省主任分析官で、現在は作家として活動する佐藤優さんが書いた、こちらの書籍です。
佐藤優『官僚の掟競争なき「特権階級」の実態 』(朝日新書)
この本は、かつて「自殺の大蔵」「汚職の通産」「不倫の外務」と呼ばれ、今も特殊な「独自文化」に生息し、世の中の資本主義による競争社会からは隔離されて守られている「全体の奉仕者」エリート官僚の実態を解き明かしている書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.こんなに統治しやすい国はない
2.「死んだふり」を続ける外務省~清武英利『石つぶて』の原理
3.官僚たちのローカル・ルール~城山三郎『官僚たちの夏』という神話
4.「第二官僚」の誕生~民主主義の危険な「迂回路」
5.無意識の中の「ケガレ祓い」
6.官僚とは何か?~階級・新自由主義・税の収奪
この本の冒頭で著者は、官僚は組織の中にいるからこそ、新自由主義の荒波を受けずに済んでいる、と述べています。なぜなら彼らは競争から免れているから、ということです。
また、官僚は年次がすべての「競争なき世界」で、「棲み分けの論理」が働いた居心地のいい場所だそうです。
そうした中で、安倍政権は「反知性主義」で、それは「客観性や実証性を無視もしくは軽視して、自分が理解したい形で世界を理解する態度」と定義できるということです。
さらに外務官僚の実態、経済産業省の伝統や論理、さらに安倍政権になってからの経済産業省出身の首相秘書官など、「第二官僚」と呼ばれる官僚の存在について、この本では詳しく述べています。
また本書の後半では、以下のような安倍政権の政策、「オウム死刑報道」などの社会情勢および「官僚とは何か」についての著者の見解が記されています。
◆ 日本経済再生本部
◆ 経済財政諮問会議の再始動
◆ オウム死刑報道への違和感
◆ 日本の階級社会の実態
◆ 「絶対転落したくない」という若者の危機感
これらの著者の説に対して、私も概ね共通の見解を持っていますが、「オウム死刑執行」に関しては見方が異なります。
歴代の法務大臣の大半が在任中に死刑執行を避けたがるのに、今回の大量執行の理由として、「ケガレ祓い」を著者は挙げていますが、私はそれはもちろんのこと、さらに天皇が交代して元号が変わり、「世直し」の名目で、万が一、死刑囚が無期懲役になったり、あるいは2回続けて元号が変わったら、釈放されるなどの事態になることを何としても避けたい、という実利上の要請があったと見ています。
この本では、官僚独特の世界において、周期的に繰り返される官僚の汚職などの不祥事のメカニズムを明らかにし、その知られざる掟や実態を分かりやすく解説しています。
あなたも本書を読んで、「官僚」という競争なき特権階級の実態を把握してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!