「還暦からの底力を発揮するうえで重要なポイントは、色眼鏡(その人の価値観や人生観)をできるだけ外して、フラットにエビデンス(証拠)を見ることです。『数字・ファクト・ロジック』で、エピソードではなくエビデンス(証拠)で世界を見ることです。」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、1948年生まれ、京都大学法学部を卒業、日本生命保険相互会社に入社、同社を退職後に60歳で起業してライフネット生命保険株式会社を創業、同社社長・会長を務めた後、現在は立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明さんが書いた、こちらの書籍です。
出口治明『還暦からの底力-歴史・人・旅に学ぶ生き方』(講談社現代新書)
この本は、マレーシア前首相のマハティールさんのように、歴史をひも解けば、還暦後に底力を発揮した人物の例は枚挙にいとまがない中で、どうすれば皆さんが「還暦からの底力」を発揮できるのか、という問いに対する答えを明らかにする目的で書かれた書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.社会とどう向き合うか
2.老後の孤独と家族とお金
3.自分への投資と、学び続けるということ
4.世界の見方を歴史に学ぶ
5.持続可能性の高い社会を子供たちに残すために
この本の冒頭で著者は、「定年制を即刻廃止し、健康寿命を延ばす」ことを提言しています。
著者の出口さんは50人ほどの医師に「健康寿命を延ばすにはどうすればいいですか」と聞いて回ったところ、一人の例外もなく皆さんが、「働くことが一番」と話していたそうです。
健康寿命を延ばすのに最もいい方法は、働くことで、「年齢フリー」の世の中にすべきだ、と著者は言います。
また、日本の公的年金制度についても、厚生年金保険をパート、アルバイトなど国民年金保険に追いやられている約1,500万人にも適用拡大し、「貧困老人」の発生を防ぐべきだ、としています。
続いて、アメリカや中国に比べて、我が国にユニコーン(時価総額10億ドル以上の未上場ベンチャー企業)が生まれないのは、次の3つのキーワードで後れを取っているため、と指摘しています。
◆ 女性
◆ ダイバーシティ
◆ 高学歴
要するに、女性の能力を活用し、高学歴の移民を積極的に受け入れる多様性のある社会でないとイノベーションは起こらないということです。
平成の30年間で日本経済がほとんど成長しなかったのは、「飯・風呂・寝る」の生活から、「人・本・旅」で学び続ける生活に移行できなかったためと著者は分析しています。
次に本書では、「60歳は人生の折り返し点に過ぎない」という著者の出口さんの持論を説明しています。20歳ぐらいまでを子どもとすると、人生100年時代では残り80年で、60歳は大人になって40年の中間点にあたるためです。
さらに、社会派ブログで有名なちきりんさんによる「人生を無駄にする3つの考え」を以下の通り紹介しています。
1.愚痴を言う
2.他人を妬む
3.誰かに評価して欲しいと願う
出口さんによれば、人生で大切なのは「好きなことをする時間」で、ご自身の場合、日常で好きなことは、①食べる、②本を読む、③眠る、の3つだそうです。
この本の中盤では、老後の孤独や家族、お金について考察、さらに自分への投資と「学び続ける」ことについて提言しています。
とくに何歳になっても「学び続ける」ことの大切さは、私も強く共感し、働き続けるには不可欠だと確信しています。
本書の後半では、学長を務める立命館アジア太平洋大学(APU)での取り組みや、世界の見方を歴史に学ぶという著者の持論を展開しています。
この本の締め括りとして著者は、「持続可能性の高い社会」に向けて、以下の提言をしています。
◆ 男性が子育てすると家族愛が高まる(オキシトシンというホルモン)
◆ 社会保障と税の一体改革
◆ 経済成長と良い政府が重要
◆ 精神論を排し、「数字・ファクト・ロジック」で語る
◆ 年齢の縛りから自由になり、「オール・サポーティング・オール」の世界に
あなたも本書を読んで、「歴史・人・旅」に学ぶ生き方で、「還暦からの底力」を発揮する人生を歩んでみませんか。
2020年12月6日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第176回】人生を楽しむ「還暦からの底時から」にて紹介しています。
毎日1冊、ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。
では、今日もハッピーな1日を!【2422日目】