「何かが欠乏しているがゆえに現況の困難があると、私は思いません。すでにあることに気づかない/なかったことにしてわかった気になり、『正解』を探し彷徨いつづけていることが苦しいのだと考えています。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1982年横浜市生まれ、東京大学大学院教育学研究科修士課程修了、ボストンコンサルティンググループ、ヘイグループなど外資系コンサルティングファームでの勤務を経て、2017年に独立、企業をはじめ病院、学校などの組織開発を支援する組織開発専門家、おのみず株式会社代表の勅使河原真衣さんが書いた、こちらの書籍です。
勅使河原真衣『格差の ”格” ってなんですか?』(朝日新聞出版)
この本は、岐路に気づき、「自分」を生きる20の問いを提示し、これら20の概念を問い直すことが、なぜ「自分」を生きることにつながるのか?について、理屈と合わせて解説している書です。
本書は以下の20部構成から成っています。
1.分ける、分かる、分け合う—違和感との出会い
2.格—の差?
3.能力—二の句が継げない「カルチャーフィット」
4.自己肯定感—自信を持てるように頑張ろう?
5.矛盾—ヒューマニティを取っ払う先
6.ガチャ—確約は正義なのか?
7.つぶしが利く—汎用化が孕む凡庸化リスク
8.自立—した人間とは?
9.覚悟—結果論かつ強者の論理
10.成長—後退、停止、逡巡の価値
11.自己責任—応答からはじめる関係性
12.リスキリング—「生き残り」をかけるのは誰?
13.タイパ—納得した感
14.本当に困っている人—絶望選手権と化す裏の顔
15.対話—見え透ける特権性
16.人となり—組織の問題を個人化する装置
17.ウェルビーイング—連帯のかけ声になりにくい理由
18.赦す—広い心と笑顔があればいいのに?
19.メリット—という気まぐれ
20.躊躇—躊躇うことを躊躇わない実践者であるために
この本の冒頭で著者は、「岐路に気づくこととは、『すでにあること』『ありもの』へ光を当てること。自身や周りにジャッジメンタルな(良し悪しを二元論的に決めつけようとする)目線を向けないことから始まります。」と述べています。
本書の前半では、「分ける、分かる、分け合う—違和感との出会い」「格—の差?」「能力—二の句が継げないカルチャーフィット」「自己肯定感—自信を持てるように頑張ろう?」「矛盾—ヒューマニティを取っ払う先」「ガチャ—確約は正義なのか?」および「つぶしが利く—汎用化が孕む凡庸化リスク」について以下のポイントを紹介しています。
◆ ChatGPTで「わかる」が「ファスト化」する
◆「分ける」はわかる、でも「分断」と紙一重
◆「格差」はこのままでいいのか
◆ 恣意的な「能力」評価
◆ 不確実性が直ちに問題なのではない、 若者のリスク回避思考
この本の中盤では、「自立—した人間とは?」「覚悟—結果論かつ強者の論理」「成長—後退、停止、逡巡の価値」「自己責任—応答からはじめる関係性」「リスキリング—生き残りをかけるのは誰?」「タイパ—納得した感」および「本当に困っている人—絶望選手権と化す裏の顔」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 後付け、強者の「論理
◆「成長」ということばの意外な多様性は無視された
◆「自己責任」と言って不明瞭な因果関係を特定する前にやるべきことがある
◆「リスキリング」に抜け落ちた「成果」の議論
◆「タイパ」という自作自演の満足感
本書の後半では、「対話—見え透ける特権性」「人となり—組織の問題を個人化する装置」「ウェルビーイング—連帯のかけ声になりにくい理由」「赦す—広い心と笑顔があればいいのに?」「メリット—という気まぐれ」および「躊躇—躊躇うことを躊躇わない実践者であるために」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆「人となり」は見極めるのではなく、組合せを考える
◆ ウェルビーイングを説く前に「お金がない」「自由な時間がない」という実情を拾え
◆「赦す」と言いながら、目の前の人をジャッジしていないか
◆ 既知のものしか「メリット」にならない
◆「言い淀む」ことの価値
この本の締めくくりとして著者は、「本書の20の問いは私にとっても、人や物事を『分けて』『分かった』気になるのをやめるためのリハビリ的問いであり、その葛藤の記録と言えます。」「他人の軸や他者評価、他社比較からの自由。」と述べています。
あなたも本書を読んで、「よりよい生き方」を疑い、軽やかに解きほぐす20の問いをもとにして、自らの生き方を改めて考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3666日目】