「介護保険制度の構造的な問題に限らず、介護の裏には深くて暗い闇が広がっている。」「高齢者に対する虐待事件、悪徳業者による介護保険の不正請求などの発覚は後を絶たない。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1973年生まれ、大学卒業後、大手電機メーカーや出版社などを経て2006年から「週刊文春」の記者になり、現在はフリーランスのノンフィクションライターとして、週刊誌や月刊誌などで社会ニューズやルポルタージュなどの記事を執筆している甚野博則さんが書いた、こちらの書籍です。
甚野博則『実録ルポ 介護の裏』(文春新書)
この本は、老々介護や介護離職、急増する外国人介護職、利益優先の高齢者ビジネスの現状、高齢者を狙った詐欺事件に至るまで、介護を巡る問題について広く取り上げている本です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.親が要介護になって
2.介護の不可解な仕組み
3.なぜ介護に金がかかるのか
4.虐げられる老人たち
5.私利私欲だらけの業界
6.ブラックすぎる介護職
7.介護の現在と未来
この本の冒頭で著者は、介護される側とその家族、介護施設の運営者や介護職など、様々な立場から見える「介護のリアル」を取材した、と述べています。
本書の前半では、「親が要介護になって」および「介護の不可解な仕組み」について以下のポイントを説明しています。
◆ 介護保険、知識と情報なしでは損をする
◆ 介護は、親切な「地域包括支援センター」を選べるか
◆ 曖昧すぎる要介護認定の判定基準
◆ 介護の質は「ケアマネ」次第
◆ 介護業界にはびこる「癒着」
◆ 要介護者の「囲い込み」や「ひも付き」の横行
◆ レンタル介護用品を巡るトラブル
◆ 複雑な介護施設の区分
この本の中盤では、「なぜ介護に金がかかるのか」「虐げられる老人たち」および「私利私欲だらけの業界」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 月にかかる介護費用の平均は、8万3千円
◆ 住宅改修・介護用ベッドなど初期費用の平均は、74万円
◆ 都市部では、特別養護老人ホームでも月20万円以上かかる施設も
◆「老人は歩くダイヤモンド」と呼ぶ関連業者
◆ 介護保険の給付費は2025年に21兆円に(コンビニ10兆円、家電・小売り9.5兆円)
◆ 介護ビジネスは、人件費を削って利益を出す
◆ 高齢者への虐待は過去最多に
◆ 要注意施設のチェックポイントは、①臭い、②居室内、③食事
◆ 不正請求で儲ける悪徳業者の仕組み
◆「身元保証」事業者のリスクに注意
本書の後半では、「ブラックすぎる介護職」および「介護の現在と未来」ついて説明しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 売上至上主義で人が足りない介護職
◆ 深刻な「ケアマネ」不足
◆ 幹部職員からのパワハラと暴行
◆ モンスター化する利用者の家族
◆ 問題を一人で抱え込む高齢者
◆「介護離職」は年間で10万6千人
◆ ブラックすぎる介護の雇用環境
◆ 外国人労働者が日本を見限る日
この本の締めくくりとして著者は、「介護に関わる者の多くの人生は、時間とともに変化しているが、変わっていないのは、介護を取り巻く環境が危機的状況にあるということだろう。」と述べています。
あなたも本書を読んで、お金・虐待・施設・業界など「介護のリアル」を知り、介護に備える対策を立てていきませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3402日目】