書評ブログ

『施設に入らず「自宅」を終の住処にする方法』

住宅設計の技術者として、新築計画時に「最期の居場所」となり得る「終の住処」を想定することが当たり前であることを教えられた、と述べている一級建築士介護福祉士が書いた本があります。

 

 

本日紹介するのは、1966年生まれ、東京理科大学大学院修了後、大手ハウスメーカー、地域ビルダー、設計事務所等で設計、営業に携わり、「家づくり」一筋約30年1000件超の家づくり、リフォームに参画し、サービス付き高齢者住宅(サ高住)企画設計、施設長も務めた一級建築士介護福祉士田中聡さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

田中聡『施設に入らず「自宅」を終の住処にする方法』(詩想社新書)

 

 

この本は、人生100年時代と言われるようになり、超長寿社会に向けた健康知識、経済情報はさまざまなものが溢れる中で、本当に豊かで納得のいく老後生活を送るためには、「どのような住環境を整えるか」という視点が欠かせないという考えのもとに書かれた書です。

 

 

本書は以下の6部構成から成っています。

 

1.まえがき 建築士で介護施設だった私が考える理想の「最期の居場所」

2.最後の居場所は「自宅」こそふさわしい理由

3.「介護施設に入るべきか?」、迷ったときに知っておくべきこと

4.それでも知りたい、よい介護施設、老人ホームの見分け方

5.最期まで暮らせる安心老後住宅のつくり方

6.あとがき

 

 

この本の冒頭で著者は、「最期の場所は自宅なのか、病院なのか、施設なのか。より寿命が延びていくなかで、自分はどのような最期を迎えたいのか、自分なりに心の準備をし、老後の住環境を整えることが、幸せな老後を送るために、今後よりいっそう必要になってくるに違いない。」と述べています。

 

 

本書の前半では、「最期の居場所は自宅こそふさわしい理由」について、以下のポイントを説明しています。

 

◆ 家族のストレスは増大するが、病院死では得られない充実感がある

◆ 自宅であれば、一切の制約なく自分の望み通りの生活ができ、自分らしい最期を迎えることができる

◆ 病院や介護施設では物理的かつ心理的な行動制限により老いのスピードとストレスが増

◆ 自宅で死ねなくなっているのは、①必要な在宅医療・介護サービス、②病状、③家族などの介護者、といった条件が整わないため

 

◆ 自宅での療養には「本人、家族が強く希望する」という信念と覚悟が必須

◆ ホスピスは温かい家庭的な雰囲気に包まれ、自分らしい最期に理想的

◆ いちばん人気の「特別養護老人ホーム」では看取りが難しい

◆ 多様性に富む最新「サービス付き介護ホーム」の「シェア金沢」

 

 

最新「サ高住」シェア金沢の運営主体である「佛子園」理事長・雄谷氏が語る次の5つのポイントは、老後の暮らし方を考える上で示唆に富む内容です。

 

◆ 生きがいのある人は生存率が高くなる

◆ 人生の目的がある高齢者では要介護の発生率が40%低下

◆ 地域活動への参加率の高い地域は要介護認定率が低くなる

◆ 人と交わるだけで健康になる

◆ 人とのつながりから生まれる支援でボランティア参加者が急増

 

 

この本の中盤では、「介護施設に入るべきか?、迷ったときに知っておくべきこと」およびそれでも知りたい、よい介護施設、老人ホームの見分け方」について考察しています。主なポイントは以下の通り。

 

◆ 自宅で介護するための心得は、①家族が仕事を辞めることは絶対避ける、②介護のための同居は避ける、の2つのルール

◆ 施設での「問題行動」の陰に「問題介護」あり

◆ 介護現場で働く介護ヘルパー5つのタイプは、①上から目線型、ダメダメ型、③職務優先型、④新人類型、⑤優等生型

◆ 介護とは、介護する高齢者に教わりながら育つ技術

 

◆ 認知症が進行している人は環境変化への対応力が弱い

◆ 50件中2~3件という「よい施設」は、①優しく寄り添う介護と自立支援ができるスタッフ7割以上、②施設長に人柄の良さと責任感がある、③看取りができる

◆ 食事に対する配慮があり、「美談」を紹介できる(優等生型ヘルパーが重要)

◆ いい施設でも施設長の交代で激変する

◆ 最期の2週間は自宅で過ごすという選択

 

◆ よいケアマネと在宅医を探す

◆ 在宅看取り積極派のケアマネを探す

◆ 金儲けが目当ての在宅医と、利用者に献身的な在宅医に二極化(by 長尾和宏医師)

◆ 自宅での転倒⇒骨折⇒入院を避けるには、自宅の生活動線に手すりを設置

◆「終の住処」となる生涯住宅への改修ポイントは「トイレ」と「転倒対策」

 

 

この本の最後で著者は、素晴らしい特養「同和園」中村仁一医師の著書『大往生したけりゃ医療とかかわるな』(幻冬舎新書)に記載されている「事前指示書」をもとに、自ら「医療死」より「自然死」を望む「事前指示書」を作成し、紹介しています。

 

 

 

あなたも本書を読んで、施設に入らず「自宅」を終の住処にする方法を学び、「幸せな最期とは何か」について考えてみませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2630日目】