「自分の人生は会社のためにだけあるわけではありません。自分はどうありたいかを決めるのは自分自身です。」と述べて、「自分の人生を『経営』するのは自分なのです。」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、1937年東京都生まれ、1960年早稲田大学卒業後、ソニー入社、主に欧州での海外事業に従事、オーディオ事業部長、コンピュータ事業部長、ホームビデオ事業部長などを歴任した後、1995年に社長に就任、2000年から2005年までは会長兼グループＣＥＯとしてソニーの変革を主導、退任後の2006年にクオンタムリープを設立し、大企業の変革支援やベンチャー企業の育成支援などの活動を行っている、ＮＰＯ法人アジア・イノベーターズ・イニシアティブ理事長の出井伸之さんが書いた、こちらの書籍です。
出井伸之『人生の経営』（小学館新書）
この本は、「あなたの人生を『経営』する上で、あなたのこれからの人生を豊かにする何かの励み」にするために書かれた書です。
本書は以下の10部構成から成っています。
１．定年という考え方をやめよう
２．サラリーマンこそ冒険しよう
３．左遷だって自らの糧にできる
４．変化の兆しをつかまえよう
５．培ったキャリアを外で活かす
６．ものづくり神話から脱却しよう
７．定年延長も退職金も要らない
８．ソニーに学んだ新しい企業の形
９．国内と対外の並列的な二重戦略に活路
10．あなたの人生のＣＥＯはあなた自身
この本の冒頭で著者は、「人生に引退はない」と述べて、リタイアするつもりはなく、ソニーとは真逆のことをして、「キャリアは価値を持っている」ことを伝えています。
本書の前半では、「サラリーマンこそ冒険しよう」および「左遷だって自らの糧にできる」をテーマに、著者の体験や考え方を紹介・説明しています。主なポイントは次の通り。
◆ 社内で「越境」し、社内ベンチャーのような働き方を
◆ デジタル化など大きな変化のときこそチャンス
◆ サラリーマンこそ挑戦、定年間際ならリスクはない
◆ 他社と交流、横のつながりを作って、自分の価値を上げる
◆ 会社は可能性の宝庫
◆ 必死になれば、泳ぎ方は覚えられる
◆ 学ぶ気があれば、左遷もまた楽し
◆ 肩書きよりも自分のバリュー
◆ 路線バスよりタクシーの運転手（決まった仕事よりどこに行くかわからない仕事）
◆ 自分の「個」を磨き上げる
この本の中盤では「変化の兆しをつかまえよう」「培ったキャリアを外で活かす」および「ものづくり神話から脱却しよう」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ ゴア副大統領の「情報スーパーハイウェイ構想」で無形資産の時代に
◆ ネットワークを利用した巨大企業が出現
◆ 通信インフラを利用したビジネス統合者が成長
◆ メディアは一方通行のマスメディアからパーソナルメディア（双方向）に
◆ ソニーは「ハリウッド買収」から始めたエンターテインメント部門で他社とは違う景色を見ることに
◆ キャリアやスキルは地方やアジアなど活かせる場所で活かせばいい
◆ ソニーで戦い抜いた経験こそが財産
◆ グローバル化で重要なのは歴史を知ること
◆ ものづくりとＩＴで何ができるかを考える
◆ 肩書きや年齢よりも「個」が問われる時代
本書の後半では、「定年延長も退職金も要らない」「ソニーに学んだ新しい企業の形」および「国内と対外の並列的な二重戦略に活路」について、以下のポイントを解説しています。
◆ 定年制度は廃止すべき
◆ 自分が必要とされる会社に移る
◆「個」を尊重するから自由な会社
◆ コロナによる分断を超えるのは人脈
◆ ピンチをチャンスに変えよ
◆ 地方のベンチャーに目を向けよう
◆ 安心・安全・健康長寿の魅力をアピールすべき
◆ 対外戦略はアジアとの共生
著者の出井伸之さんが提唱する「人生の経営」というコンセプトは、私が提唱する「定年ひとり起業」とトリプルキャリアによる生涯現役の働き方・生き方と共通するものです。以下の拙著２冊を併せて読むとさらに理解が深まるのでお薦めします。
この本の締めくくりとして著者は、「一人ひとりがその人自身のＣＥＯであり、それぞれの信じるビジョンを描き、その実行のために決断、アクションを起こす必要があります。」と述べています。
あなたも本書を読んで、「会社にも定年にもしばられない生き方」を学び。自分自身のＣＥＯとして、自らの人生の経営をしていきませんか。
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では、今日もハッピーな１日を！【2736日目】
