「自分を知れば世界が広がる」と提唱し、ポジティブ・アプローチの考え方を使って、若い世代が前向きにキャリアをデザインしていくための方法を紹介している本があります。
本日紹介するのは、明治大学先端数理科学研究所インスティテュート研究員でキャリアコンサルタントの安部博枝さんが書いた、こちらの書籍です。
安部博枝『自分のことがわかる本 ポジティブ・アプローチで描く未来』(岩波ジュニア新書)
この本は、「自分の自慢できるところを3つ書き出してください」という研修を行い、「ありのままの自分」を受け入れ、好きになることを提唱している著者の安部博枝さんが、「自分だけでは気づけなかった自分」と「自分の良さ」を見つけることをサポートするために書かれた書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.自分に自信がもてますか?
2.今の自分を深く知ろう
3.自分の世界を拡げよう
4.ポジティブ・アプローチでコミュニケーションがラクになる
5.未来の私たちが生きる世界
6.今、ここからの私
この本の冒頭で著者は、アメリカのアルバート・エリスという心理学者が、私たち人間のことを「非合理で悲観的な生き物である」と言っていることを紹介しています。
要するに、私たちはものごとも自分自身も「ありのまま」に捉えることは難しく、否定的に捉えやすい傾向をみんながもっている、ということです。
そこで、著者の安部さんは、「非合理で悲観的な」傾向を、「合理的で楽観的な」視点に変えてみて、自分の得意なことや好きなことにこだわってみる「ポジティブ・アプローチ」を提唱しています。
次に、アメリカのジョセフ・ラフトとハリー・インガムという2人の心理学者が提唱した「ジョハリの窓」という有名な理論を本書では紹介しています。
これは、私たちは自分のことを自分が一番わかっているようで、実はそうでもないこと、他者からの鏡が無ければ、正しく自分を理解できないことを示唆する理論です。
つまり、私たちはみんな、「自分がわかっている部分」と「気付いていない部分」があり、さらに「周りの人が知っている部分」と「知られていない部分」という、4つの部分(これを「窓」と呼んでいる)があり、以下の「4つの窓」に分かれます。
1.開放の窓(自分が知っている・他者が知っている)
2.秘密の窓(自分が知っている・他者が知らない)
3.盲目の窓(自分が知らない・他者が知っている)
4.未知の窓(自分が知らない・他者が知らない)
ここで大事なことは、自分のことを他者に知らせる行為である「自己開示」をして、「秘密の窓」を小さくすること、そして、自分は気づいていないけれども周りの人はみんな知っている「盲目の窓」を、他者から教えてもらって(フィードバックという)、それを受け入れることによって小さくすることです。
そうすることによって、「秘密の窓」と「盲目の窓」が「開放の窓」に変わり、より自分のことがわかるようになるのです。
以上から、結果的に「未知の窓」が小さくなり、潜在能力として眠っている可能性が拡がっていくことになるでしょう。
次にこの本では、アメリカの精神科医のエリック・バーンが提唱した「交流分析」という心理学理論を紹介しています。
この「交流分析」をもとに、私たちのだれもがもつ「5つの心の状態」をグラフで表し、見えるようにした「エコグラム」について説明しています。
この「エコグラム」からは、自分の性格特徴や行動パターンを知ることができます。
このほかにも本書の後半では、心理学者のポール・エクマンによる「6つの基本表情」を紹介しています。これは以下の6つで、古今東西変わらない、ということです。
◆ 幸福
◆ 悲しみ
◆ 驚き
◆ 恐怖
◆ 怒り
◆ 嫌悪
この基本表情を利用して、相手の表情から相手の感情を予測するなどの、人工知能による表情認識の研究が行われるようになっているのです。
そして著者の結論として、この本の最後には、将来の自分象(=「なりたい自分」)を肯定的に描いてみよう、と呼び掛けています。
あなたも本書を読んで、自分のことがわかるように、ポジティブ・アプローチで「なりたい自分」を描いてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を