「なぜイスラム国が登場し、なぜ世界中がこれを脅威とみなしているのかを理解するには、現状と歴史的背景の両方を、立体的に見る必要があります。」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、大阪外国語大学ペルシャ語科を卒業し、コロンビア大学国際関係論修士、クウェート大学客員教授などを経て、現在は放送大学教授の高橋和夫さんが書いた、こちらの書籍です。
高橋和夫『イスラム国の野望』(幻冬舎新書)
この本は、そもそも「イスラム国」とは何か、そしていかにして樹立され、なぜ各国から若者がイスラム国に集まって来るのかが分かりやすく書かれた書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.イスラム国、急拡大の背景
2.イスラム国とは何なのか
3.イスラム国出現までの100年史
4.イスラム過激派とは何者か
5.イスラム国と国際情勢
6.イスラム国はいつまでもつか
この本の冒頭で著者は、分かりにくいイスラム教の宗派による対立について説明しています。イスラム教全体の勢力図で言えば、スンニー派9割、シーア派が1割となります。
しかしながら、イランではこの比率が正反対で、9割がシーア派、1割がスンニー派になります。イラクは北部のクルド人が2割、中部のアラブ人スンニー派が2割、南部のアラブ人シーア派が6割。
シーア派が多数ですが、イラクは伝統的に2割のスンニー派がフセイン大統領のもとでバース党員として要職を占め、権力を独占してきました。
スンニー派とシーア派の違いは、イスラム教の開祖ムハンマドの後継者「カリフ」をどうとらえるか、という解釈の違いです。
次に本書では、シリアにおける権力闘争を解説していて、1割の少数派であるアラウィー派が人口の約7割を占めるスンニー派を支配する構図でしたが、権力闘争には残虐性が避けられないと、著者は指摘しています。
そして、もともと「イラクとシリアのイスラム国」が、全世界のイスラム教徒にメッセージを送る「イスラム国」へと発展していきました。
このほかに、アメリカ軍の戦争のやり方の変化や、これまでの戦争の歴史や経緯、さらにイスラム過激派についての分析が述べられています。
またこの本の後半では、イスラム国と国際情勢、および今後のイスラム国の展望、そして日本がとるべき独自の道について、著者の見解が記されています。
あなたも本書を読んで、人質の殺害など、残虐なイメージだけが先行する「イスラム国」について、その歴史的背景や今後の見通しについて、正確な情報を得てみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を