書評ブログ

『一流のエンジニアは、「カタカナ」を使わない!』

一流のエンジニアと二流のエンジニアは具体的にどこが違うのか、一流のエンジニアになるためにはどんなことが必要か、について、そのエッセンスを伝えてくれる本があります。

 

 

本日紹介するのは、日本オラクル株式会社(旧サン・マイクロシステムズ株式会社)サポート・サービス部門に23年間勤務し、様々な人材育成の実績を上げ、2013年に独立して現在はカスタマーズ・ファースト株式会社代表取締役、エンジニア育成コンサルタント、産業カウンセラー、企業研修講師片桐あいさんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

片桐あい『一流のエンジニアは、「カタカナ」を使わない!』(さくら舎)

 

 

この本は、日本オラクル株式会社(旧・サンマイクロシステムズ株式会社)ほかで、30年以上にわたり、エンジニアとともに仕事をし、「エンジニアのトレーニングの開発」に携わってきた著者が、日本のエンジニアを世界に誇れる一流のエンジニアに育てるためのポイント「飛躍する技術者の8つの条件」として整理して提示している書です。

 

 

 

本書は以下の10部構成から成っています。

 

 

1.まえがき~ 一流のエンジニアと二流のエンジニアの違いとは?

 

2.一流のエンジニアは、「起業家精神」を持ち合わせている

 

3.一流のエンジニアは、「技術以外の仕事」を率先してやる

 

4.一流のエンジニアは、「顧客の問題解決」を最優先に考える

 

5.一流のエンジニアは、「情報収集力」に長けている

 

 

 

6.一流のエンジニアは、「顧客心理推察力と状況察知力」が高い

 

7.一流のエンジニアは、「顧客目線」で言葉を使い分ける

 

8.一流のエンジニアは、キャリアアップをしながらチームを大事にする

 

9.一流のエンジニアは、困難に打ち勝つ「感情・思考・身体」のセルフマネジメント力が高い

 

10.あとがき

 

 

 

この本の冒頭で著者は、2人1組で「目をつぶって階段を降りる」ワークを紹介しています。1人(Aさん)は目をつぶり、もう1人(Bさん)は安全にパートナーを導くワークです。

 

 

 

ワーク実施後に、「ワークの感想」および「ワーク体験から仕事に活用できる学び」という2つのポイントで「振り返り」を行うのです。

 

 

 

すると、ワークからの考察で、受講者は以下の4つに分類されるそうです。

 

 

1.言われたことを言われたからと工夫なくやる人

 

2.自分のやり方を疑いもせずに実行する人

 

3.自分が相手の立場に立ったときに思うことを実行する人

 

4.相手がどうしてほしいのかを先に聞いてから実行する人

 

 

 

実際に観察していると、受講者の大部分は2か3になる、と言います。相手の安全に関わる責任を負っているため、さすがに1はほとんどいません。4ができる人が一流のエンジニアに求められる要素を持っている人なのですが、とても少ないのです。

 

 

 

本書では、一流のエンジニアが持っている力「8つの条件」として紹介・解説していますが、著者が強調する2つの力は、「顧客心理推察力」「状況察知力」です。

 

 

 

この本の前半では、一流のエンジニアが持っている「起業家精神」「技術以外の仕事をする」「顧客の問題解決を最優先に考える」という資質について解説しています。主なポイントは以下の通り。

 

 

◆ 常に自分の価値を高め、チームの価値を高める

 

◆ 卓越したコミュニケーション能力を身につける

 

◆ ありたい姿を明確にし、適切な「自信」を身につける

 

◆「プランドハップンスタンスセオリー」をベースに、好奇心・持続性・柔軟性・楽観性・冒険心の5つのスキルを磨く

 

 

 

◆ 相手から聞いた条件を分解し、共通点と相違点を見つけていく「分解型思考力」を磨く

 

◆ 謝罪、調整、説明、接待なども大切

 

◆ 問題解決の5ステップ(➀問題定義、②データ測定、③原因分析、④解決策の検討・実施、⑤評価・監視)を学ぶ

 

◆ できないことはできないと伝える

 

 

 

本書の中盤では、一流エンジニアの「情報収集力」、「顧客心理推察力と状況察知力」、「顧客目線」について、次のポイントを解説しています。

 

 

◆「傾聴力」と「質問力」を磨いて、情報収集力を高める

 

◆ 視点・視野・視座の3つの見方で「想像力」を高める

 

◆ 顧客を理解し共感する力、顧客の置かれた状況を感じ取る力を養う

 

◆ 常に「顧客目線」を意識し、言葉を選んでシンプルに伝え、安心感のある話をする

 

 

 

この本の最後で著者は、「キャリアアップとチーム貢献」および「困難に打ち勝つ感情・思考・身体のセルフマネジメント力」について、一流エンジニアの特徴を説明しています。主なポイントは次の通りです。

 

 

◆ 自分の知識を磨いていく「知識の共有」でチームに貢献

 

◆ 人脈形成のための戦略をつくる

 

◆ 長期にわたり健全でいられるための考え方とスキル(=感情・思考・身体のセルフコントロール)

 

◆ モチベーション、目標、時間管理、ストレス対処(セルフ・モニタリング、ストレス・マネジメント、ストレス・リリース)

 

 

 

本書の締めくくりとして、エンジニアとして今後のキャリアに最も大切なのは、「人間力」すなわち、その人自身の価値や魅力に人が集まってくる、と説明しています。

 

 

 

様々な仕事がAIに取って代わられようとしている今日、仕事は自分と組織の価値を高め、継続的な自己成長ができるものであるべきだ、と述べています。

 

 

 

この本は、一流のエンジニアになるための「キャリアアップ&人材価値アップの極意」が詰まった理系社員必読の書ですが、エンジニアだけでなく、文系出身者が多い営業管理部門などすべてのビジネスパーソンのキャリア開発にも共通して求められる考え方スキルが分かりやすく説明されています。

 

 

 

自らのキャリアや人材価値を上げて一流のビジネスパーソンとして活躍したいすべての人に、心から本書を推薦します。

 

 

 

2020年11月19日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第163回】エンジニア育成のプロが語る「一流エンジニア8つの条件」にて紹介しています。

 

 

 

 

 

毎日1冊、ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。

 

 

 

 

では、今日もハッピーな1日を!【2412日目】