「われわれがこれから戦う相手は、グローバル人材でも、仕事を奪うAIでもない。下り坂を降りていく運命を背負った、自分自身である。おじさんの本当の戦いは、今始まったばかりなのだ。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1975年生まれ、大学卒業後、NHKのキャスター、ディレクターとして生活情報などを担当、結婚退職後に自殺予防団体の電話相談ボランティアを経験、育児のかたわらウェブライターとして借金苦や終活に関する取材・執筆を行うジャーナリストの若月澪子さんが書いた、こちらの書籍です。
若月澪子『副業おじさん 傷だらけの俺たちに明日はあるか』(朝日新聞出版)
この本は、「副業を探している、副業に取り組んだことがある」という40~60代、およそ100人の中高年男性に取材し、その中でもホワイトカラーとして働いてきた人たちの、副業体験をまとめたものです。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.副業の森をさまよう
2.上流から下流に
3.若者に交って
4.夜のしごと
5.部活のノリ?
6.セカンドステージ
この本の冒頭で著者は、この取材を通して気づいたことを、次の3点に整理して紹介しています。
◆ おじさんは低賃金市場で人気がない
◆ すでに地方では副業が10年前から始まっていた
◆ 男はつらいよ(日本の男性の行きづらさ、男性のジェンダー問題)
本書の前半では、「副業の森をさまよう」および「上流から下流に」について以下のポイントを説明しています。
◆ 大手企業に長年勤めた環境の変化に弱いタイプのおじさんは、副業探しで苦戦しやすい
◆ 在宅副業は報酬が低い、複数の本業を持つ感覚で誠実にこなして条件交渉を
◆「副業の森」をさまようおじさん(夢見がち期・とりあえず期・クリエイティブ期・開き直り期・絶望とあきらめ期)
◆「第二の人生で成功している人は、自分のスキルを小出しにするのが上手い」
◆ 科学者でも副業で稼げるのは、怪しげな体験モニター、ウーバー、倉庫作業だけ
◆ マンション管理士や中小企業診断士の国家資格を取っても仕事が得られない
◆ 翻訳よりポスティングの方が稼げる
◆ 倉庫バイトは現代の「蟹工船」、ホワイトカラーがおびえる食品工場
この本の中盤では、「若者に交って」および「夜のしごと」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 週末ギグワーカーになる副業チャレンジおじさん
◆ フードデリバリーは経費自分持ちで競争が激しいく、なかなか稼げない
◆ アマゾン配達員、スタバ店員、「せどり」は向き・不向きがある
◆ おじさんを騙すSNS特殊詐欺は、架空の美女が仮想通貨へ投資を誘う
◆ ラブホテル清掃、デリヘル送迎、キャバクラキッチンなど夜の副業は別世界
本書の後半では、「部活のノリ?」および「セカンドステージ」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 個別指導の塾講師は、高度な受験テクニック不要
◆ 中高年おじさんが採用されやすい警備員バイトは人間関係が大事
◆ マイナス20度の冷凍倉庫は冬が地獄
◆ 教育費のための「父親の副業」を知らない子どもたち
◆ コンビニ店員は中高年にはハードな仕事
この本の締めくくりとして著者は、今回の取材で最も多かった副業の動機は「収入の補てん」であると述べています。そして多くの中流家庭で副業の動機になっていたのが「子どもの教育費」だった、ということです。
あなたも本書を読んで、今後は中高年男性の新たな居場所になるかも知れない「副業」の実態を知り、「働くとはな何か」について改めて考える契機にしてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3554日目】