「本業を複数持つ」、すなわち「複業」こそ新しい働き方だ、と提唱している本があります。
本日紹介するのは、1975年米国イリノイ州生まれ、慶應義塾大学法学部卒、旧司法試験合格後、アンダーソン・毛利法律事務所に勤務して3年後に独立、弁護士ドットコムを創業、現在は同社代表取締役会長、弁護士、参議院議員という3つを複業として活躍する元榮太一郎さんが書いた、こちらの書籍です。
元榮太一郎『「複業」で成功する』(新潮新書)
この本は、著者が弁護士ドットコムを創業し、軌道に載せるまでの困難や、その時に「複業」として助けられた弁護士としての仕事について、その相乗効果や、これからの時代の新しい働き方について考察している書です。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.あなたはいつ、今のキャリアからはみ出すべきか?
2.あなたは起業すれば成功できるタイプか?
3.こんな副業はアウト!
4.本気で複業を考えるあなたのためのチェックリスト
この本の冒頭で著者は、企業の副業解禁で「複業社会」が到来する、と述べています。
著者は「副業」と「複業」を、以下の通り分けて考えています。
◆ 副業: 本業以外の仕事(本業の時間外に行うアルバイト、在宅ビジネスなど)
◆ 複業: 複数の仕事を持つこと(本業と副業がはっきり分けられず、複数の本業を持つ)
本書の前半では、副業が解禁されてきた背景や、著者自身がなぜ、アンダーソン・毛利法律事務所という安定した仕事を辞めて起業したか、という経緯について解説しています。
著者が創業した弁護士ドットコムは、8年間赤字を続けたが、それを支えたのが「複業」である弁護士業である「元榮法律事務所」(のちに「法律事務所オーセンス」に改称)だった、ということです。
しかし、この赤字経営が、競合他社が参入することを防ぎ、現在でもオンリーワンの存在としてサービスを展開できている理由になっていると言います。
その後、「税理士ドットコム」や「司法書士ドットコム」なども展開し、いずれもビジネスとして軌道に乗ってきたと言います。
本書の中盤では、現在、弁護士ドットコムで注力している事業として、以下のものを挙げています。
◆ リーガルテック(法律とITを掛け合わせたサービス)
◆ 具体的には、クラウドサインという契約書の電子化
このサービスは、2018年に政府が、あらゆる電子申請における添付書類ゼロを目指す「デジタル・ガバメント実行計画」を発表し、2019年5月には、行政手続きを原則、電子申請に統一するデジタルファースト法を成立させ、今後大きな伸びが見込まれます。
さらに著者は、参議院議員という3つめの仕事を「複業」として取り組むことにした理由を、人生を変える「越境」のためと説明しています。
ピーター・ドラッカーが提唱した「パラレルキャリア」のほか、「越境」「多動力」という言葉が、「複業社会」を語るキーワードになっています。
さらに、藤原和博さんが提唱する、3つのキャリアを組み合わせて、100万人のい1人の希少価値を持つ存在になる考え方を紹介しています。
藤原和博さんが提唱する「クレジットの三角形」で、ホリエモンや西野亮廣さんが実践していることで知られています。
本書の後半では、実際の副業が企業の就業規則に抵触して「懲戒解雇」などの処分になるアウトか、それとも認められるセーフになるかの基準や判例などを具体的に紹介していて参考になります。
著者が創業した弁護士ドットコムでは、「みんなの法律相談」というウェブ上のサービスを提供していて、そこには多数の副業に関する相談が寄せられているそうです。
ネットを通じて弁護士を身近な存在にするためのサービスとして、弁護士ドットコムは世の中のニーズをつかみ、急成長しました。
この本の最後には、複業を本気で考える人のためのチェックリストも掲載されていて、参考になります。
あなたも本書を読んで、「複業」という選択肢を視野に入れた、新しい人生のデザインを考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!