「補欠には補欠にしかわからない景色がある」――そんな静かな決意とまなざしに貫かれた、ある高校野球部の成長記録があります。
本日紹介するのは、立教大学野球部で東京六大学優勝を経験後、編集者を経てスポーツライターとして活躍し、多くの野球ノンフィクションを手がけてきた元永知宏(もとなが・ともひろ)さんによる渾身のルポルタージュです。
元永知宏『補欠の力』(ナップ)
本書は、高校野球の名門・広島県の広陵高校野球部を舞台に、ベンチ外や補欠の選手たちが、どのようにチームを支え、人生の糧を得ていくのかを描いた感動のノンフィクションです。
著者は、自らも野球に青春を賭け、以後スポーツに人生を重ねてきた人間だからこそ、補欠という立場にこそ宿る “静かな誇り” をすくい上げていきます。
この本の冒頭で著者は、2020年のコロナ禍で甲子園が中止になった高校球児たちの思いと、それに向き合った広陵高校の姿勢に強く心を動かされたことを語っています。そして、「勝ち負けだけでは語れない “3年間の価値” を、彼らの姿に見た」と記しています。
本書は以下の10部構成から成り立っています。
1.コロナの夏に得たもの
2.3年間は男の修行ー野球部のルール
3.プロ野球選手が過ごした3年間
4.全国で準優勝した「史上最弱」メンバー
5.あの逆転負けからの10年
6.全員の思いを力に
7.背番号18のキャプテン
8.補欠たちのそれから
9.高校日本代表キャプテンのいま
10.広陵野球部の目指すもの
この本の冒頭で著者は、「補欠」と呼ばれる存在が、実はどれほどチームにとってかけがえのない支柱であるかを、日々の努力や仲間との関係性から丁寧に描き出しています。
本書の前半では、以下のポイントが説明されています。
◆ コロナ禍の混乱の中で高校球児たちは何を得たのか
◆ 名門広陵高校に息づく「3年間は男の修行」という伝統的精神文化
◆ 試合に出られなくても、プロを目指す者、支える者の3年間には重みがある
◆ 甲子園準優勝を成し遂げた“史上最弱”と呼ばれた世代のチームワークの真実
◆ 勝敗や実力だけでは測れない「高校野球の本質」があること
この本の中盤では、広陵高校の敗北からの復活や、個々の選手たちがチームのために捧げた姿が克明に描かれています。主なポイントは次の通り。
◆ あの“逆転負け”から10年、チームはどう変わったのか
◆ キャプテンとして背番号18を背負った選手が語る葛藤と覚悟
◆ ベンチ外や応援席からチームを支えた選手たちの「その後」
◆ 全国の舞台に立った仲間との再会、そして言葉にならない絆
◆ 高校日本代表に選ばれたキャプテンの現在から浮かび上がる「成長の軌跡」
本書の後半では、「補欠」という役割がいかに誇り高く、人生にとってかけがえのない財産となるかが語られています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 試合に出られなくても、自分の“居場所”を作り続けた選手たちの強さ
◆ 努力が報われるとは限らない世界で、それでも努力し続ける意味
◆ 主役にならなくても“物語の主人公”になれる生き方の価値
◆ 高校野球を通じて学んだ「支える力」「つなぐ力」の尊さ
◆ チームの未来を見据え、世代を超えて語り継がれる“補欠の力”の意義
この本の締めくくりとして著者は、「補欠という存在がいるからこそ、チームは強くなれるのです」と語っています。
「誰も注目しない場所にこそ、最高のドラマがある」――そんな信念のもとに描かれた本書は、すべての努力する人への静かなエールであり、スポーツの本質に迫る一冊です。
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では、今日もハッピーな1日を!【3805日目】