「貧困とは『不自由な脳』(脳の認知機能や情報処理機能の低下)で生きる結果として、高確率で陥る二次症状、もしくは症候群とでも言えるようなものなのだ。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、子どもや女性、若者の貧困をテーマにした取材活動をする文筆家、ルポライターで、『最貧困女子』(幻冬舎新書)、『老人喰い』(ちくま新書)などを代表作とするが、2015年に脳梗塞を発症し、高次脳機能障害の当事者になりつつも執筆活動を継続する鈴木大介さんが書いた、こちらの書籍です。
鈴木大介『貧困と脳 「働かない」のではなく「働けない」』(幻冬舎新書)
この本は、「脳が不自由な状況とは、当事者にとって具体的にどのように感じられるものなのか? それがあることで、何ができなくなるのか? そしてなぜ当事者がどれほど努力して足掻いても、『何もしない人』に見えてしまうのか? どのようにして貧困の深い穴に陥っていくのか? なぜ制度が機能しないのか?」を徹底的に掘り下げ、可視化し、彼らの不自由を代弁し直している書です。
本書は以下の9部構成から成っています。
1.「なぜ?」の原風景
2.自己責任的に見える当事者
3.やっとわかった彼らの言葉
4.「働けない脳」の僕たち
5.なぜ彼らは座して破滅を待つのか
6.なぜ彼らは制度利用が困難なのか
7.「働けない脳」でどうするか?ー 当事者と周辺者・支援者へ
8.唯一前進している生活保護界隈
9.貧困の正体
この本の冒頭で著者は、「本書をもって、貧困者にないする自己責任論に最終的な払拭を試みたい。」と述べています。
本書の前半では、「なぜ?の原風景」「自己責任的に見える当事者」および「やっとわかった彼らの言葉」について以下のポイントを説明しています。
◆「不自由な脳」で生きる結果として、高確率で貧困に陥る
◆ やるべきタスクの優先順位を見失う
◆ 脳が疲れる(=脳性疲労)で、頭が回らなくなり、行動できなくなる
◆ 脳性疲労は自罰につながり、働けなくなる
この本の中盤では、「働けない脳の僕たち」「なぜ彼らは座して破滅を待つのか」および「なぜ彼らは制度利用が困難なのか」について述べています。主なポイントは次の通りです。
◆ 短期記憶の機能低下で、約束すっぽかしやダブルブッキングが頻発
◆ 不自由な脳、働けない脳
◆ 朝からパチンコ屋に行くのは、安心したいから
◆ 福祉を拒絶するシングルマザー
本書の後半では、「働けない脳でどうするか?ー 当事者と周辺者・支援者へ」「唯一前進している生活保護界隈」および「貧困の正体」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆「できる仕事」と「できない仕事」を把握する
◆ 不安を軽減すれば、最大限のスペックを把握できる
◆「話しづらい」という訴えを受け止めてくれた言語聴覚士
◆ 生活保護YouTuberの話を聞く
◆ アウトロー少年少女における3つの障害的因子(先天的・発達障害・環境)
この本の締めくくりとして著者は、「貧困とは、脳の認知機能が不自由をきたすことによって高確率で陥る二次的な症状であり、社会の中に立ち現れる『現象』なのだ。」と述べています。
あなたも本書を読んで、貧困の真の原因に目を向け、「働けない脳」について考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3614日目】