「癌は全てが投資やお金と関係する訳ではないが、本人にとって『不確実性下の意思決定』の問題である点が投資とよく似ている。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1958年北海道生まれ、東京大学経済学部卒業後に、三菱商事に入社、野村投信、住友生命、住友信託、メリルリンチ証券、パリバ証券、山一證券、明治生命、UFJ総研など12回の転職を経験、コンサルタントとして資産運用分野を専門に手掛けるほか、経済解説や資産運用を中心に、メディア出演、執筆、講演会などを多数行ってきた経済評論家の山崎元さんが書いた、こちらの書籍です。
山崎元『がんになってわかったお金と人生の本質』(朝日新聞出版)
この本は、癌に関わる知識について伝えたり、特定の治療法を勧めたりするものではなく、癌という病気を自分の条件とした時に、筆者が何を考え、どう意思決定したのかを伝える書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.癌患者と投資初心者は似ている
2.がん保険はやっぱり要らなかった
3.癌になって分かった、どうでもいいことと大切なこと
4.山崎式・終活のセオリー6箇条
5.お金より大事なものにどうやって気づくか
6.癌の記・裏日記
この本の冒頭で著者は、「投資の文章では末尾などに『投資判断はご自身で行ってください』としばしば注記されているが、本書の性質もそれに似ている。」「筆者の治療方針の選択や意思決定は一例であって、他人にも適合すると推奨するものではない。」と述べています。
本書の前半では、「癌患者と投資初心者は似ている」および「がん保険はやっぱり要らなかった」について以下のポイントを説明しています。
◆ 医療の商業主義化の悪影響
◆ 癌治療の情報は制限しないと身が持たない
◆ 上機嫌な癌患者でありたい
◆ 癌治療の最大コストは個室の差額ベッド代と機会費用
この本の中盤では、「癌になって分かった、どうでもいいことと大切なこと」および「山崎式・終活のセオリー6箇条」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 自分の頭髪は自分以外は誰も気にしていない
◆ 仕事は10年に1度、リニューアルせよ
◆ 残された時間でやりたいことは、書籍2冊の執筆と施設にいる母親に会うこと
◆ 終活セオリー6箇条:➀なるべく長く働く、②住居は縮小しモノを減らしてシンプルに暮らす、③便利な場所に暮らす
◆ ④介護が必要になったら施設へ、⑤相続は本人の頭が明晰なうちに明確に決める、⑥お墓・お寺と縁を切って弔いはシンプルに
本書の後半では、「お金より大事なものにどうやって気づくか」および「癌の記・裏日記」ついて説明しています。とくに共感できるポイントは以下の通りです。
◆ 私のミッション・ステート:➀正しくて、②できれば面白いことを、③たくさんの人に伝えたい
◆「経済評論家」という仕事にこっそり誇りを持つ
◆ 予想と希望を混同させない
◆ お金には「使い時」がある
◆「守銭奴FIRE」に疑問あり
◆ イベントよりも「日常」重視で気分よくお金を使う
◆ お金と自由と人間関係が幸福に影響する
◆ お金より大事なものに気づくスイッチは「怒り」
この本の締めくくりとして著者は、「癌という病気では、自分の時間や制約が見えて『この制約の下に、あなたの目的を最大化しなさい』というのがはっきり見えてくる。」「癌は付き合いにくい病気ではない。」と述べています。
あなたも本書を読んで、「お金と人生の本質」について、改めて考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3466日目】