「人口急減やウルトラ高齢化、超成熟市場、情報過多などで、新規顧客獲得がどんどん困難になっているこの時代。生活者の消費行動を促すためには “ ファンベース ” が絶対に必要だ。」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、電通にてマス広告、ネット広告、コミュニケーション・デザインなどに携わった後、2011年に独立して、現在はコミュニケーション・ディレクターとして、株式会社ツナグ代表である佐藤尚之さんが書いた、こちらの書籍です。
佐藤尚之『ファンベース』(ちくま新書)
この本は、支持され、愛され、長く売れ続けるための「ファンベース」の重要性について解説した書です。
「ファンベース」とは、ファンを大切にし、ファンをベースにして中長期的に売り上げや価値を上げていく考え方であり、その重要性と効果的な運用方法を、豊富なデータや事例を挙げて具体的に紹介しています。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.ファンベースは、あなたが思っているより、たぶん、すっと重要だ
2.キャンペーンや単発施策を、一過性で終わらせないために
3.ファンベースが必然な3つの理由
4.ファンの支持を強くする3つのアプローチ~共感・愛着・信頼
5.ファンの支持をより強くする3つのアップグレード~熱狂・無二・応援
6.ファンベースを中心とした「全体構築」の3つのパターン
7.ファンベースを楽しむ(もしくは実行の際のポイントの整理)
この本の冒頭で著者は、ファンとは「起業やブランド、商品が大切にしている『価値』を支持している人」と定義したい、と述べています。
そして、以下の理由で、今後「ファンベース」という考え方抜きで発想するのは難しくなるだろう、と著者の佐藤さんは説いています。
◆ 少数のファンが売り上げの大半を支えている
◆ 今いるファンを大切にして彼らのライフタイムバリューを上げていくことは、収益の安定・成長に直結する
つまり、くり返し購入してくれるファンこそが、実は売上を支える大黒柱だ、ということです。
今や短期キャンペーン施策のチカラが急速に失われてきているのが現状です。
そうした中で、企業の本業とは「生活者の課題解決」であり「笑顔を作ること」なのです。それを日々実行している企業活動は、それ自体が「社会貢献」です。
そうは言っても、短期キャンペーン施策も単発施策もいろんな意味で大切で、中長期ファンベース施策とつなげて、「価値に対する好意」を資産化していく必要がある、と著者は言います。
次に、ファンベースが必然な理由として、本書では以下の3点を挙げています。
1.ファンは売り上げの大半を支え、伸ばしてくれるから
2.時代的・社会的にファンを大切にすることがより重要になってきたから
3.ファンが新たなファンを作ってくれるから
これらの中味の詳細については、ぜひこの本を実際に手に取ってお読みください。
続けて、本書では「ファンの支持を強くする3か条」を次の通り、挙げています。
1.その価値自体を、アップさせること → 「共感」を強くする
2.その価値を、他に代えがたいものにすること → 「愛着」を強くする
3.その価値の提供元の評価・評判を、アップさせること → 「信頼」を強くする
さらに、身内であり、コアファンという、支持をより強くするには、共感を「熱狂」に、愛着を「無二」に、信頼を「応援」に、アップグレードしていく必要がある、と著者は言います。
この本の後半では、ファンベースを中心とした「全体構築」の3つのパターンを以下の通り、説明しています。
1.中長期ファンベース施策のみで構築する
2.短期・単発施策でファンをゼロから作っていくところから始める
3.中長期ファンベースを軸に、短期・単発施策を組み合わせていく
本書の締めくくりとして、ファンベースを楽しむこと、すなわち、ファンベース施策の実行のポイントを整理して、次の通り提示しています。
◆ スモールスタートで楽しむ
◆ 時間をかけることを楽しむ
◆ ファンになってもらう過程を楽しむ
◆ 常連さんをお迎えすることを楽しむ
◆ ファンという少数と楽しむ
◆ コミュニティ運営を楽しむ
◆ キレイゴトを楽しむ
この本の「あとがき」で著者は、2015年11月に、ロバート・ウォールディンガー教授が行った「TED」スピーチを紹介しています。
同教授の75年に亘る研究結果は、以下の結論です。
「人生を幸せにするのも、人を健康にするのも、人間同士のつながりである。」
私たちを健康かつ幸福にするのは、良い人間関係に尽きる、ということです。そして、人間関係に関して、次の3つの大きな教訓があったそうです。
1.周りとのつながりは健康に本当に良い
2.50歳でもっとも幸せな人間関係にいた人が80歳になってもいちばん健康だった
3.良い関係は、身体の健康だけでなく脳をも守ってくれる
この「つながり」と、「企業とファンとのつながり」は、そのまま結びつくわけではありませんが、幸せや健康に直結していたら、それは素晴らしいことだ、と著者は述べています。
あなたも本書を読んで、「ファンベース」という考え方について学び、実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を