あらゆる業界をのみ込む「破壊の力学」と、それを支える「デジタル・ビジネスモデル」を、豊富な事例を紹介しながら解明している本があります。
本日紹介するのは、世界トップランクのビジネススクールであるIMD教授のマイケル・ウェイドと、シスコ・デジタイゼーションのディレクターのジェフ・ルークスほかが書いた、こちらの書籍です。
マイケル・ウェイド・ジェフ・ルークスほか『対デジタル・ディスラプター戦略 既存企業の戦い方』(日本経済新聞出版社)
この本には、ディスラプター(破壊的イノベーター)がビジネスを構築し、市場に変化をもたらしている手法や、組織に不可欠な最先端の調査、示唆に富んだ洞察、次世代のベストプラクティスが書かれています。
本書は以下の10部構成から成っています。
1.「破壊者」ではなく「破壊の力学」に注目する
2.デジタル・ディスラプションの破壊力
3.デジタルが可能にしたビジネスモデル
4.バリューバンパイアが市場の利益を飲み干す
5.ディスラプターとどう戦うか-4つの対応戦略
6.アジリティを高める3つの組織能力
7.これまで手に入らなかった情報を集める-ハイパーアウェアネス
8.解析力を高めてバリューを見抜く-情報にもとづく意思決定力
9.リソースとプロセスを動的にする-迅速な実行力
10.いかにして競争力を高めるか
この本の冒頭で著者は、ビジネスに飛躍的な変化をもたらす「デジタル」によって支えられた一連の市場変化すべてをひっくるめた呼称として、「デジタル・ボルテックス」という言葉と概念を紹介しています。
そして、デジタル・ボルテックスが渦巻き状のイメージで、さまざまな業界の競争に及ぼしている影響を解説し、「デジタル・ディスラプション」を引き起こすメカニズムを具体的な事例をもとに説明しています。
「デジタル・ディスラプション」とは、デジタル技術とデジタル・ビジネスモデルが、企業の価値提案(バリュープロポジション)と市場における今後の地位に及ぼす影響です。
デジタル・ディスラプションと従来の競争との違いは、突き詰めれば次の2つにある、と著者は言います。
◆ 変化の速度
◆ 利害の大きさ
デジタル・ディスラプターの数は、過去3年の間に驚くほど増えていて、ベンチャーキャピタル用語でいう「ユニコーン」と呼ばれる、10億ドル以上の評価額を持つスタートアップ企業だ、と本書では指摘しています。
デジタル技術で可能となった破壊的ビジネスモデルでは、それがもたらす価値の種類によって、カスタマー・バリューを次の3つに分類できる、と著者は述べています。
◆ コストバリュー
◆ エクスペリエンスバリュー
◆ プラットフォームバリュー
続いてこの本では、デジタル・ボルテックスの競争力学を考察して、以下の2つの新しいコンセプトを紹介しています。
◆ バリューバンパイア(価値の吸血鬼)
◆ バリューベイカンシー(価値の空白地帯)
そして一度破壊された市場は元に戻らない、と本書では指摘しています。
こうしたデジタル・ディスラプターとどう戦うべきかについて、著者は次の「4つの対応戦略」を挙げています。
1.収穫戦略
2.撤退戦略
3.破壊戦略
4.拠点戦略
それぞれの詳細や具体的事例については、ぜひ本書を手に取ってお読みください。
続いて、デジタル・ディスラプターに対抗するアジリティを高める3つの組織能力およびその具体的事例を以下の通り、著者は解説しています。
◆ ハイパーアウェアネス(ソーシャルメディアで顧客の声をつかむネスレの事例)
◆ 情報にもとづく意思決定力(デジタルで現場の意思決定の質を高めるDHLの事例)
◆ 迅速な実行力(すばやい新チャネルの立ち上げなどスターバックスの事例)
この本には、デジタル・ディスラプターの豊富な事例が紹介され、破壊的ビジネスモデルの特徴や本質が解説されていて、対抗策のポイントがよく理解できます。
あなたも本書を読んで、対デジタル・ディスラプター戦略について、深く考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!