人口、GDP、賃金、論文数、ジェンダー平等、メディアなど、あらゆる指標で停滞・衰退が明らかになり、プレゼンスが希薄になりつつある「日本の現在地」を調査・分析して解説している本があります。
本日紹介するのは、1958年生まれ、パルコに入社し、三菱総合研究所を経て、1999年にカルチャースタディーズ研究所を設立、消費社会研究家として消費・都市・社会を予測、大手企業や都市・住宅政策などへの助言を行っている三浦展さんが書いた、こちらの書籍です。
三浦展『大下流国家「オワコン日本」の現在地』(光文社新書)
この本は、理想や教養の欠落が衰退を招いた「オワコン日本」の現在地について、社会に対する不満の減少や無関心、ささやかな幸福への願望など、普通の人々が何を求めて暮らしているか、長期にわたった安倍政権に対する評価についての最新調査をもとに徹底分析している書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.オワコン日本
2.「ニセ中流」の出現と日本の「分断」-デフレに慣れた人々
3.「強さ」を求める時代-安倍政権8年を誰が支えたのか
4.ユーミンはなぜ泣いたか?-バブル世代下流中年と安倍政権
5.さよなら、おじさん-若者はなぜ東京集中・地方移住するか
この本の冒頭で著者は、「日本の繁栄はいつまで続くか」という問いに対して、日本国民の62%が「すでに繁栄の時代は終わっている」と答えていることを紹介しています。
続いて、消費における「格差の定着」が今の日本には見られ、中国やアジアも格差拡大、高級志向が強まっていると指摘しています。
本書の前半では、「ニセ中流の出現と日本の分断」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 年収400万円でも中流意識、階層意識が高まっている
◆ 給料が上がらなくても「ニセ中流・デフレ中流」に
◆ 自分の点数が下がっても、平均点が下がれば問題ないという意識
◆ 不満増大の理由は団塊世代、若者の不満は減少
◆ 第四の消費(田舎・人間関係・シンプル・エコ・ていねいな生活志向)が満足度高める
この本の中盤では、「強さを求める時代」および「ユーミンはなぜ泣いたか?」をテーマとして、バブル世代下流中年や「安倍政権8年を誰が支えたのか」を考察しています。主なポイントは次の通り。
◆ 若い世代は「安倍政権を評価しない」人が少ない(相対的に評価高い)
◆ 高学歴女性、非正規・パートは安倍政権への評価が低い
◆ 高年収の若い男性は安倍政権への評価が非常に高い
◆ 階層意識が高いほど安倍政権の評価が高い、下流でも評価する人は多い
◆ SNSを積極的に使う若者は65%が安倍政権を評価
◆ 下流の中年層は「愛国的」「復古的」で安倍政権の評価高い
◆ 安倍政権の評価が高い人は自助志向が強い
◆ 中流では安倍政権評価が「どちらでもない」が多い
◆ バブル世代は下流でも安倍政権評価が高い
◆ ユーミンは安倍元首相と同じ1954年生まれで、音楽の最盛期はバブル時代
本書の後半では、「さよなら、おじさん」と題して、「若者はなぜ東京集中・地方移住するか」を分析・解説しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 若い女性は「おじさん文化」が嫌で地方を出て東京に集中
◆ 多様性を認める企業・都市に女性が吸収される
◆ 共働きで子育てしやすい地域が選ばれる
◆ 東京圏から移住したい女性は、高学歴・正規雇用・高年収が多い
◆ 東京圏から移住したい女性は、シェアリングに関心高い
◆ 歴史で人を集め、未来をつくる地方の取り組み
あなたもこの本を読んで、「オワコン日本」の現在地を知り、「大下流国家」になりつつある日本で、いかに生きていくかを考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2623日目】