「2010年の時点で、人類が1日に生み出すデータの量は、歴史の始まりから2003年までに生み出したデータの累計の総量を上回っていた。」と指摘している本があります。
本日紹介するのは、世界的な暗号研究者、コンピュータ・セキュリティの権威で、発行するニューズレターやブログの読者が世界で25万人いるブルース・シュナイアーさんが書いた、こちらの新刊書籍です。
ブルース・シュナイアー『超監視社会: 私たちのデータはどこまで見られているのか?』(草思社)
この本は、すべてがネットにつながれる時代、詳細な個人情報は巨大企業が握り、国家による個人の監視強化にも利用される、「超監視社会」とも呼ぶべき社会に、私たちは生きている、という事実について、警鐘を鳴らすものです。
つまり、スマホの履歴やオンラインでの購買履歴、グーグルでの検索、フェイスブックの利用だけで、あなたの行動や性癖はすべてバレている、ということです。
本書は以下の16部構成から成っています。
1.情報化時代の「排ガス」
2.監視されるデータ
3.分析されるデータ
4.監視ビジネス
5.国家の監視と統制
6.官民監視パートナーシップ
7.政治的自由と正義
8.公平で平等なビジネス
9.企業の競争力
10.プライバシー
11.安全
12.原則
13.国家に関する提案
14.起業に関する提案
15.私たちができること
16.新しい社会規範
本書の冒頭で著者は、携帯電話を持って家を出ると、あなたは携帯電話会社に居場所をつねに把握されることを受け入れている、という事実を指摘しています。
多くの人は、どこにいても電話が通じるという便利さと引き換えに、携帯電話会社に居場所を知らせ、その監視下に置かれることを受け入れている、ということです。
アメリカ軍の定義によれば、「監視」とは、「体系的観察」を意味します。電子的手段を用いた今日の監視は、政府や企業が私たちの私生活を丸裸にしてのぞき見ることを可能にしています。
また、グーグルの検索について言えば、『第五の権力-Google には見えている未来』(ダイヤモンド社)に記されているように、あなたのデータを差し出せば、あなたが見たい広告を表示し、ネット検索や電子メールなどさまざまなサービスを無料で提供しましょう、ということになります。
つまり本書では、今日のテクノロジーは、政府と企業に大量監視を実行する強大な力を与えている、ことを指摘し明らかにしています。
この本の前半では、私たちが生きている監視社会の実態を説明しています。次に中盤では、保管された大量のデータを用いて、どのように監視が実行されるかを論じています。
さらに本書の後半では、政府や企業の監視から自分を守るために、私たちがどうすべきかを論じています。
本書の中で著者が繰り返し述べているように、この本は決して反テクノロジーの立場に立っているわけではありません。
むしろ、インターネットは、そして情報化全般は、社会にきわめて大きな恩恵をもたらした、と主張していて、それは今後も変わらない、と述べています。
ただし、私たちの行動をコンピュータが把握できるようになったことで、生活は大きく様変わりし、既存の製品やサービスに革命的変化が起きたり、まったく新しいビジネスが生まれたりしています。
したがって、監視は現に脅威を生み、問題が十分に議論されていないことから、過剰な監視がもたらす弊害については、深く理解して反撃を始めなければならない、と本書では説いています。
あなたもこの本を読んで、「超監視社会」について深く理解し、対抗策を考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を