ドキュメンタリー『定年前起業への道~57歳からの挑戦!』の第58回は、「知的生活の実践」<その3>です。
≪ 知的生活の基本は「学ぶ」こと!≫
本日は、渡部昇一さんの名著で1976年に出版されて100万部以上のベストセラーとなった『知的生活の方法』(講談社現代新書)および、それをもとに30数年後に書かれた現代版の『知的余生の方法』(新潮新書)を紹介したい。
まずは、元になった『知的生活の方法』(講談社現代新書)ですが、渡部さんがまだ、英文学の研究の徒のはしくれだったとき、実践してきたことや日々行っている生活を具体的に書いたものでした。
豊かな学究生活を営むために、若き学者や研究者のために今なすべきことや、自覚しておいた方がよいことを、あくまでも「著者」を基準として書いたものです。
しかし、出版した後に、想定した読者以外からも大きな反響があり、意図した読者層のみならず、若人から高齢者まで幅広く受け入れられました。
学者の野口悠紀雄さんや竹中平蔵さんからは、「とても役立った」との言葉もいただいたそうです。
そして、それから30年経って、IT機器や文明の利器が増えても、人間の思考や生きることの本質はそうそう変化してはいない、ということです。
できるなら、知的生活を送りたい、という思いは人の根源的な欲求ではないか、と思います。そこで、30数年前とは社会の形から日常生活まで大きく変化している中で、著者の渡部さんは以下の書を著しました。
この本の中で、儒学者の佐藤一齋さんの『言志晩録』の次の言葉が紹介されています。
◆ 少ニシテ学ベバ、即チ壮ニシテ為スアリ。
◆ 壮にして学ベバ、即チ老イテ衰ヘズ
◆ 老イテ学べば、即チ死シテ朽チズ
この中でとくに、2番目の「壮にして学ベバ、即チ老イテ衰ヘズ」が、定年後の「知的生活」には重要だ、ということです。
仕事をしながら学んでいる人は、定年後も知的アウトプットができる人です。さらに「晩酌」よりも「内発的興味」を楽しむことが大切です。
『論語』にも、以下のようなフレーズがあります。
◆ これを知る者は、これを好むものにしかず
◆ これを好む者は、これを楽しむ者にしかず
つまり、「楽しむ境地の人」は、定年退職後も、知的な興味がどんどん湧いてきて、「知的余生」が送れます。
そして、著者の渡部さんは、仏教を初めとする、「宗教」を追求するのも、ひとつの生き方だとしています。
また、「読書家」は長寿が多い、ということも健康法の観点から間違いない、としています。本を読むことは考えることに通じるので、大いに本を読むべき、ということです。
そして著者は、次の2冊を「今後の人生に必要とされているものが何なのか」を暗示してくれるとして、とくに勧めたい本だ、ということです。
パスカル『パンセ』(中公クラシックス)
アレクシス・カレル『人間-この未知なるもの』(知的いきかた文庫)
あなたも、渡部さんの教えに倣って、知的生活のための準備をしていきませんか。
2015年11月1日の「定年前起業」まで、あと109日です。皆さんの温かい励ましや応援をどうかよろしくお願いいたします。