ドキュメンタリー『定年前起業への道~57歳からの挑戦!』の第62回は、「知的生活の実践」<その7>です。
≪ 「知的生活」提唱の元祖はこちらです!≫
本日は、定年後の不安を「自分が主役の人生」変える、というミッションを、実現するために提唱している「知的生活」というコンセプトの元祖を紹介したいと思います。
ずばり、こちら2冊の名著です。
梅棹忠夫『知的生産の技術』は、1969年の出版で、その7年後の1976年に渡部昇一『知的生活の方法』が出されています。
また、渡部昇一さんが、『知的生活の方法』を書くきっかけになった元の本が、19世紀にP・G・ハマトンが書いた『知的生活』(講談社学術文庫)(原書は『The Intellectual Life』)です。
何と、原書で読める方は、Kindle にて、無料で電子書籍が手に入ります。ハマトンの英語は評判の名文であり、お薦めです。私もすぐに0円で購入しました。
今後は、著作権の期限が切れた名著が電子書籍ならだだで読めるようになってきます。
ハマトンは著書『知的生活』の中で、「知的に生きるとは、何かを成し遂げるということよりは、むしろ一種の精神状態である」と述べています。
高度成長や石油ショックが終わった後の日本では、徐々に個人の余暇の質も変わってきて、「もっと静かに、自分の考えること、自分の納得したこと、自分の生きがい、自分の気に入ったライフスタイルを大切にしたい」と思うようになる、と渡部さんはハマトンの名著から分析しています。
≪ 知的生活者の第一歩は身銭を切って本を買うこと ≫
渡部さんは、ハマトンの書に啓発され、『知的生活の方法』の中で、「この本で意図したことは、本を読んだり、物を書いたりする時間が生活の中に大きな比重を占める人たちに、いくらかでも参考になることをのべること」と記しています。
そして、ハマトンの『知的生活』と同様に、すべて渡部さんの実感か体験か願望が書かれています。
私が『知的生活の方法』において最も印象的だったのは、「本を買う意味」の「身銭を切る」というところです。著者は次のように述べています。
「若いうちは金がないから図書館を上手に使うことは重要な技術である。しかし収入が少ないなら少ないなりに、自分の周囲を、身銭を切った本で徐々に取り囲むように心がけてゆくことは、知的生活者の第一歩である。」
さらに、こう続けています。「私はこう言いたい。あなたの蔵書を示せ、そうすればあなたの人物を当てて見せよう、と。」
『知的生活の方法』は100万部を超えるベストセラーになり、今なお売れ続けています。学者の竹中平蔵さんや野口悠紀雄さんなど、各界の著名人からも絶賛されています。
≪ 学校では教えない知識の獲得の仕方 ≫
一方、梅棹忠夫さんの『知的生産の技術』は、「学校では知識は教えてくれるけど、知識の獲得の仕方は教えてくれない」という問題意識の下で、創造的な知的生産を行うための実践的技術についての提案を行っています。
メモの取り方、カードの利用法、原稿の書き方など基本的技術の訓練不足が研究能力の低下をもたらす、と梅棹さんは考えています。
そして、それは「研究」に限った問題ではなく、実は一般の「勉強」の方法にもつながることではないか、ということになりました。
「研究」と言っても、結局は「読む」、「書く」、「考える」などの動作に帰着するのであって、一般の「勉強」と何も変わりません。
そこで、『知的生産の技術』では、こらから学問をやろうという学生をも含め、また広く一般に知的活動を仕事にしている人たちをも対象に想定して、著者の経験をエッセイ風に書くことにしました。
この本は、著者がまとめで記しているように、一種の「学問の方法論」ということになるかも知れません。
本書の最後には、「情報時代の新しい教育」についても触れています。情報の生産、処理、伝達について、基礎的な訓練を小中学校の時からみっちりしこんでおくべきだ、としています。
また文章の教育については、情報工学の観点からおこなうべき、としていています。さらに、ここで採り上げた「知的生産技術」の教育は、既存の科目では難しい。
梅棹さんは、「やがては “ 情報科 ” というような科目を作って、総合的・集中的な教育をほどこすようになるのではないか」と述べています。
あなたも、「知的生活」の原点になる名著にあたって、定年後の「知的生活」、「生涯研究」を目指してみませんか。
2015年11月1日の「定年前起業」まで、あと105日です。皆さんの温かい励ましや応援をどうかよろしくお願いいたします。