書評ブログ

『縮む韓国 苦悩のゆくえ 超少子高齢化、移民、一極集中』

「出生率0.72」という数字が示す現実――それは、韓国が日本以上のスピードで少子高齢化に直面しているという衝撃です。

本日紹介するのは、「異常な受験競争」「貧困に陥る高齢者」「移民による混乱」「首都圏の超一極集中」など、日本にとっても決して対岸の火事ではない課題を、徹底取材で描き出した渾身のルポルタージュです。

朝日新聞取材班『縮む韓国 苦悩のゆくえ 超少子高齢化、移民、一極集中』(朝日新書)

本書は以下の4部構成から成っています。

1.少子化編「出生率0.72」超少子化社会のリアル

2.高齢化編 変わる敬老精神 噴出する老後不安

3.移民編 進む移民政策 未完の共生

4.一極集中編 ソウル首都圏に人口5割 地方の衰退

 

この本の冒頭で著者は、日本より先に急速な人口減少に突入しつつある韓国の現状を描きながら、「これは未来の日本の姿かもしれない」という強い警鐘を鳴らしています。

本書の前半では、「少子化編 出生率0.72超少子化社会のリアル」について以下のポイントが提示されています。

◆ 「出生率0.72」という世界最低水準に至った背景には、異常な受験競争や住宅高騰、長時間労働などが複雑に絡み合っている。

◆ 教育費・生活費の高さが結婚・出産をためらわせ、若者世代のライフプランを根底から変えている。

◆ 子育て支援政策は実施されているものの、根本的な社会構造の変革には至っていない。

◆ 女性の社会進出が進む一方、家事・育児の負担は依然として女性側に偏っている。

◆ 少子化が地方の学校や地域社会の存続危機を引き起こしている。

 

本書の中盤では、「高齢化編 変わる敬老精神 噴出する老後不安」および「移民編 進む移民政策 未完の共生」について説明しています。主なポイントがは以下の通りです。

◆ 高齢化が急速に進み、敬老精神が薄れる中で老後不安が顕在化している。

◆ 公的年金や社会保障制度の脆弱さが、高齢者貧困を深刻化させている。

◆ 独居高齢者の増加が社会的孤立と精神的健康の悪化を招いている。

◆ 介護人材不足が深刻化し、外国人労働者への依存度が高まっている。

◆ 高齢層と若年層の価値観の断絶が、世代間の対立を生み出している。

 

さらに本書の後半では、「一極集中編 ソウル首都圏に人口5割 地方の衰退」について解説されています。主なポイントは次の通りです。

◆ 韓国は労働力確保のため移民政策を進めているが、受け入れ態勢や共生モデルは未完成。

◆ 外国人労働者が集住する地域で文化摩擦や差別問題が表面化している。

◆ ソウル首都圏への人口集中が止まらず、地方都市や農村の衰退が加速している。

◆ 若者や移民の多くが地方から首都圏に流入し、地域経済の空洞化が進んでいる。

◆ 地方再生の試みはあるが、構造的な人口流出に歯止めをかけられていない。

 

この本の締めくくりとして著者は、「韓国が抱える人口減少・少子高齢化・一極集中の課題は、日本にも迫っている未来像であり、その教訓をいま活かせるかどうかが問われている」と述べています。

韓国社会の現実を通して、日本が直面するであろう問題の “予習” ができる一冊です。

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では、今日もハッピーな1日を!【3817日目】